富樫倫太郎さんといえば、「軍配者シリーズ」などで知られた時代小説作家。ところが、この「堂島物語」、時代小説は時代小説でも江戸時代、大阪・堂島で行われていた帳合米(ちょうあいまい)取引、つまり米先物取引を描いています。
当時の米市の様子や経済、風俗だけではなく、人情の機微がていねいに描かれ、「情報の9割は何の役にも立たないデタラメだけど、1割は役に立つ話もある」といった教訓も随所に。続編「いのちの米」と合わせた山あり谷ありの展開に加え、相場師たちの米相場に賭ける情熱が読者を惹きつけます。また、現代の投資信託やFX取引につながる話も参考になるかもしれません。
1730年、堂島で生まれ、約200年続いた米先物取引でしたが、1939年、戦争による統制強化で廃止されました。しかし、2011年8月8日、東京穀物商品取引所と関西商品取引所で72年ぶりに米先物が試験上場され、取引初日は値が付かないほどの買い注文が殺到、個人投資家の人気を集めています。
そして、米先物上場を待っていたように8月下旬、”かめさん”こと亀谷保孝が世に送り出した「世界一カンタンde楽しい!デリバティブの教科書」(秀和システム)♪
帯にある「かめさん流!掟破りのデリバティブ超入門」のコピー通り、金融派生商品なんていうカビ臭い説明は一切なし。冷し中華スワップやおせち先物、長友@インテル・オプションなど身近で旬なネタを駆使して、デリバティブを楽しく読み解いてみせます。
「堂島物語」と「世界一カンタンde楽しい!デリバティブの教科書」を一緒に読めば、米先物相場で連戦連勝間違いなし!?
どちらも、寝転んで読むうちにデリバティブが身に付くお薦めの一冊、ぜひご一読を。