生き残りのディーリング
矢口新 パンローリング
本書は、現役ディ−ラ−が、座右の書として、ディ−リングル−ムに置いているという。
著者自身も、プロのファンドマネ−ジャ−やディ−ラ−も含めた、すでに相場に
かかわっている方々により役立つと書いているように、相場経験者を念頭に置いて書いている。
相場で迷ったり、落ち込んだりしたときに、ぱらぱらめくっていれば、必ず自分の悩み
を解決したり、解決しないまでも、暗闇から脱出の糸口となるヒントにあふれている。
私自身も、この書を読んで、今まで自分のトレ−ドで悩んだり、苦しんだことが、
「ああ、そうだったのか」と思い出されてきた。
そう、この書物は、相場を自ら経験し、相場に悩み、相場に苦しみ、日夜悶えた人が、
いわゆる「腑に落ちる」書物なのだ。
残念ながら、未経験者、もしくはシミュレ−ション、トレ−ドゲ−ムのみの人には
「フ−ン、そうなの」ぐらいの反応しか引き出されないのではないだろうか。
しかし、たとえ少額でも自己資金を使って、悩み、苦しみ、迷ったことのある人には、
本書は、「なるほど」とうなずける書物だ。
著者自身が、相場を書物ではなく、実戦のなかで学びました、と振れているだけに、 著者の悩み、苦しみも一般投資家と同じものがる。
そして、ああ、プロの方も相場では苦労しているんだな、と妙に関心してしまう。
ともすれば、ヘッジファンドが大儲けといった類の記事を新聞や雑誌で見ると、
プロのトレ−ダ−は何の苦もなく大儲けしているように思いがちであるが、
それだけのリタ−ンを得るために、有形・無形のリスクを背負っていることを
思い起こさせてくれる。世の中、簡単な儲け話しなどないのである。
さて、本書の良さは、読んだ者がその時々の失敗や心理状況、トレ−ドの能力に応じて、新たな発見ができるところにある。
私に関して言えば、advice67「損切りの徹底」で、”損切りが難しいなどと言って いるうちは、まだ駆け出しです。損は切るもの。アゲインストのポジションは、
持ってはならないものなのです。”という箇所にガツンときた。
自己資金で運用している者にとって、損切りは必要不可欠とわかっていながらも、
資金量が目減りするため、なかなかスパッとできないのが実状である。
考えに考え、ようやく未練がましく切るということが大半だ。いや、未熟な私だからこそ、
こんな状態なのだろうが。
つまずいた個人投資家にとっては「第4章 見切りと再起」から読んでいただきたい。
自分がつまずいた時の心理状況、損切りできなかった原因、それに付随する結果など、
まるで自分のことを書かれているようである。失敗の原因が解明できたら、
「第2章 自己資金の性質とそのリスクを理解する」を読もう。
リスクを背負わなくてはリタ−ンはない。
著者は明快に言い切っている。「リスクは管理するものだ」と。
そして、再びマ−ケットに参入する準備が整い、気力も充実したら「第3章 機先を制す」
を読んでみよう。ポジションを持ったら、毎日の相場をチェックし、「第1章 価格変動の本質」
をめくってみよう。自分に理解のできない値動きがあれば、要チエックだ。
うまくいく時もあれば、こける時もある。人生も相場も同じだ。
最後に「advice 99 得意なものと、好きなもの」を読んで見よう。
力が湧いてくる。
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