ホントは教えたくない資産運用のカラクリ2

　軽い文体とは裏腹に、内容は表面的に示される事象の本質を明らかにしようと した真面目な内容。「爆騰銘柄５０選」みたいなご都合本ではない。

　一般の読者にとって、この軽い文体は確かに馴染みやすいかもしれないが、私 自身は、ちょっと意図的に軽く書きすぎている印象があり、あまり好みとは言えな い。 　また、これを読んだからといつて、直接的に資産運用のヒントとなるようにアイ ディアがえられるわけでもない。

　しかしながら、非常に本質的、根本的な問題について、一般の常識とは異なった 視点から、わかりやすく説明するような内容となっており、中味は薄くない。

• 名目上の資産の額が増えたって、インフレ率以下だったらどうなの？
• 弱い通貨の高金利ってどうなの？
• 長期投資家にとって短期的な価格変動ってどうなの？
• 資産と負債のバランスってどういうことなの？

　といった点について、文体はともかく、中味としては実にまっとうに説明してくれて いる。別に変わったことを言っているわけでも、独自の理屈なり理論を展開しているわ けでもないが、示し方はなかなかうまいと思わされる。

　本書で述べられている内容は「カラクリ」というよりは、むしろ「本質」であり、 そういう意味で良書であると思う。

（ふしみん・４０代・公務員）

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