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スマートマネー流株式選択術 銘柄スクリーニングバイブル米国流株式投資入門書 「スマートマネー」とは米国で出版されている投資関係の雑誌の名前のようだ。 日本では、依然として「爆騰10銘柄」だの「このテーマに乗れ!」だのといった 「上がる銘柄紹介」的な雑誌か、あるいは、やたらと広告が多くて、読み込める 本文が少ないような月刊誌ぐらいしか投資関係の雑誌がないのが残念だが、 本書を読む限り、この「スマートマネー」誌は、なかなか真面目でいい内容の 雑誌なのだろうと思われた。 そこに紹介された内容なども含めて、米国での資産運用、株式投資全般につ いてわかりやすく整理されたのが本書である。 全体では450ページ程度と分厚いが、後半の150ページ程度は用語解説等の 付録にあてられており、本文もグラフなどが多用されているため、実際に読み込む 内容は見かけほど多くはない。 アセットアロケーション(資産運用におけるその配分)のあり方、投資信託の選択 方法からはじまり、RER、PSR、PBR等の代表的な指標を用いての銘柄選択の 具体的な方法、アナリストレポートや財務諸表の見方、証券会社の選択から高名 な投資家の手法の紹介まで、本書の内容は幅広い。 基本的には広い意味でのバリュー株投資を指向したもので、テクニカル指標に ついての解説といった内容は一切なかった。 難解な理論等はまったくなく、実際に株式投資を行ってきた経験がある者であ れば、理解もしやすく、また受け入れられやすい。 全体として、これから投資を始めようとする入門者やまだ経験の浅い初心者を主な 読者対象として意識した中味になっている。 ただ、米国で出版された書籍で、内容についても米国市場について述べられてお り、紹介されているウェブサイトや証券会社も当然すべて米国のものである。 そのため、直接、日本国内での株式投資で本書の内容を生かすのは難しいとこ ろがある。 また、内容が多岐にわたるため、逆にそれぞれの項目について深まった記述が なされているわけではなく、高名な投資家の投資手法の紹介も「さわり」にとどっま てしまっており、それぞれの内容についてより深く理解しようとすれば本書だけで は不十分な面もあると感じられた。 本文の途中に「補足」として特定のテーマについての原稿が折り込まれている部分 がある。その内容そのものは興味深いものとなっているが、「補足」があることによ り 本文が途切れてしまい、やや読みにくいところがあった(編集の問題)。 真面目な良書ではあるが、やや総花的すぎる印象もある一冊であった。 (ふしみん 公務員 40代)
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