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第85回 日米とも新高値を更新だが、どこかで業種間格差が2024.7.16 浜口です。さて、まずは今回も定点観測を。前回の当ブログのアップ日(2024年7月1日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」銘柄について、左は株価が6月28日時点、右は7月12日時点のデータです。 商社株は上昇・銀行株はわずかに下落しています。特に銀行株は、ここ2週間上昇したテック株と株価が逆相関にあるためにこのような結果になったと思われ、一時的な現象と考えます。MS&AD(8725)も引き続く大きく上昇していますが、これは前回説明した第84回「MS&AD(8725)に対する投資魅力」を引き続き織り込んでいる状況と考えます。 以下は8316三井住友FGの日足。引き続き上昇トレンドにありますが、前述したとおりテック株と株価が逆相関にあるため、ここ2週間は株価が足止めされている状況です。しかしこの銘柄のファンダメンタルズには変化はありませんので、楽観しています。主観ですが、中長期的には20,000円があってもおかしくないという考えに変化はありません。 三井住友フィナンシャルグループ(8316) デイトレは行いませんでした。ここもと、特に銀行株について、いわゆる「寄り付き天井」のケースが多くなってきたように考えたからです。 日本株の相場観については、長期的には今回も基本、変化なしです。日本は、景気後退になる可能性は低く、米国のインフレ懸念は日本に脱デフレをもたらし、加えて海外観光客の増加等、経済再活動につながり、今年年前半にかけ、日本株はここで紹介している高配当バリュー株を中心とした、堅調な相場展開を予測しています。「浜口の相場観は、いつも同じだよな」と受け止められている向きも多いことでしょう。しかしながらこのことは、現在の日本株市場が私が想定した通りに推移している証左と受け止めていただきたいと思います。 日米とも新高値を更新だが、どこかで業種間格差がさて、ここからは今回のテーマ、「日米とも新高値を更新だが、どこかで業種間格差が」について。 足元では、日本株と米国株がそろって最高値を更新し続けています。9月米利下げ開始の障害がなくなりつつあるほか、半導体を中心に世界の製造業が持ち直しています。投資家は不況を回避しながらインフレ沈静化に成功する「ソフトランディング(軟着陸)」シナリオ実現を見込む・・・これは日経新聞に書かれている解説です。実際、その通りでしょう。 しかしながら、ここからの米国の利下げは、ただでさえ上向きである米国景気上昇に拍車をかけるものと考えます。そうなりますとそれにつれ、米国10年債金利は上昇するでしょう。つまり、当面実施される利下げが、今後の金利上昇の要因になるわけです。その場合には高金利に弱いグロース株は下落、バリュー株の出番になると考えます。 日本はといいますと、ようやくデフレが解消され長期金利が上昇していく中、それに拍車がかかることになります。この場合、特に私がお勧めしている銀行株にメリットがあると思います。また米国の景気加速やインドの経済成長は、原油価格の上昇につながり、やはり世界的にインフレチックになっていくと考えます。 その場合、前回は損保株が優位性が高いと書きましたが、銀行・商社株にもメリットがある。つまりこれまで浜口がお勧めしていた投資戦略で良いのだと思います。一方で第66回「手を広げない」ということ、この点も重要です。今後も累進配当銘柄に的を絞り、現在の投資戦略を継続していきましょう。 以上です。なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは再強調させていただきます。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。
<著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ) 約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。 |
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