ドル腐食時代の資産防衛

　本書は今後、ドル安が進む可能性について、マクロ的視点から多面的に解説がなさ れている。その個々の内容については反論も可能なのだろうが、全体として相当の説 得力がある内容になっていると感じられた。

　それと比較して、ドル安後の基軸通貨がどうなるのかについての展望についての記 述は相対的に解説も少なく、イメージが描きにくい。ユーロの今後についても、同じ 丁寧さで書かれているとよりよかった。

　こうした状況に対しての「資産防衛」策として示されているのが、円安に強い株式 銘柄への投資（但し、ドル安・円安時の留意点も示している）、ＦＸや金というの は、確かにそのとおりなのだろうが、やや物足りない印象もあった。

　全体として誠実な記述となっており、通貨、とりわけ米ドルの今後の推移と米国経 済のあり方について自ら考えてみるためには有用な書籍となっている。

ふしみん、４０代、公務員

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