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書名からは短期売買のテクニック本的な印象を受けるが、内容はそうでは ない。副題に「リスク回避型の保守的長期投資家のためのバイブル」とある ように、内容は長期的スパンでの投資を行う際の方法について説明したもの となっている。 「長期投資であってもずっと買い続けるような方法よりも株価が安い時に買 う方が有利である」というのが内容の本質である。 結論としてはごく当たり前であるが、それをPER、PBR、PCFR、PSRな どの指標を用いて、長期的なデータの分析から具体的に明らかにした内容となっ ている。つまり、「株価が安い」といっても、なにをもって安いとするかがわかりに くいため、上記の指標で検証してみたということになろう。
実際、株価が安い時に買うのがよいことはわかっていても、それを実行するの はなかなか難しい。というのは、いわゆる逆張り的な投資手法であれば共通して 言えることだが、安い時に買うということは、本書の中から引用するならば「だれ もがもうダメだと言っている時に、あえて買いを入れ、業界が浮かれ騒いでいる ときに買いを見送る、といった精神的な重圧」に耐えて始めて可能となる方法で あり、リターンはその重圧に耐えることの代償であるからである。
本書の示された長期的なデータは、こうした重圧に耐えるための一助となろう。 後半には具体的なアドバイスも示され、アセットアロケーションについての内容 もある。 まじめな良書だと思うが、本当に長期投資家となるのは、日々マーケットの値 動きに目がとらわれがちになるものにとってはそうたいやすいことではないという こともあらためて感じた。
また、本書は個別銘柄への投資についてはどちらかといえば否定的なニュアンス が強く、インデックスへの投資をすすめている印象が強かった。確かに、アクディブ 運用の投資信託の多くはインデックスファンドに負けているのだろうが、個人投資家 としては、やはり銘柄、業種、投資金額等の分散をしたポートフォリオによる個別銘 柄での運用も魅力はあり、必ずしも個別銘柄への投資はうまくいかないことばかりで はないと感じている。自分の運用で本書の指摘に挑みたいと思っているが・・・、さ て、結果はどうなるだろうか。
(ふしみん 公務員 40代)
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