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キャリートレードの興隆 金融危機と株価暴落を引き起こす「犯人」が分かった!

結論から言いますと、本書は金融市場の構造的な本質を突いた非常に勉強になる本である。小生は、普段の取引ではテクニカル分析を用いて取引しているが、急な暴落に巻き込まれている時はテクニカル指標が無効になる経験はよくあることである。株式取引でもFX取引でも、投資経験がある人ならば小生と同じような経験をしながら、急降下に崩れ落ちる価格帯を目視しながら、下落の犯人探しや自分のポジションの正当性について言い訳を考えたりするのではないでしょうか。

下落の主犯格として本書は、世界のビジネスサイクルを支配するまでになったキャリートレードの正体を明らかにしております。キャリートレードとは規則的な一連のインカムや会計上の利益を生み出すが、原資産の価値が大きく変動すれば、突然損失を生むリスクが発生する金融取引を指している。

著者はキャリートレードの共通した重要な特徴として、レバレッジ、流動性の供給、ボラティリティの売り、そして小さく安定した利益と時折発生する大きな損失という『のこぎり歯』のようなリターンのパターンであり、これらの特徴が金融市場そのものを特徴づけるようになったと述べております。また、キャリートレードによってバブルが生まれ、そしてクラッシュする。そのクラッシュを現在は中央銀行が助けることによって、より大きな経済システムへと進化し続ける経済構造(本書ではキャリーレジームと定義)を生み出していると結論付けています。

私見ですが、2008年の金融危機以降、キャリーレジームがより明確になっていると感じております。2018年2月に起こったVIXショックしかり、2020年3月のコロナショックしかり、あの激しい値動きについて、そして、その後の回復スピードの構造についても、本書を一読すれば暴落時に起こっている構造的なヒントが多く記載されておりますので読み応えがありました。

最後に、キャリーレジームの終焉について著者の考えの中で、今後インフレが確立されれば、中央銀行は政策の柔軟性を失い、現状の体制に依存しない新たな貨幣が登場する可能性が高いということを主張されている点について小生も同意致します。米ドルにとって代わる決済通貨が出現するのか、米ドルの基軸通貨の崩壊を意味するのか、その答えについて今は誰もわかりませんが、ここ数年の社会変化は未来が大きく変わる兆候ではないでしょうか。今般の地政学リスク(ロシアがウクライナへ侵攻しSWIFTから排除)や米国覇権後退などを考えれば、より大きな衝撃がマーケットを襲うことを想定しながらトレードをして行こうと本書を読み終え感じております。キャリーによる暴落の構造・ボラティリティの構造も非常にわかりやすく指摘されており、投資家の皆さまのみならず、特に金融業務に従事する方にも自己研鑽の書籍として本書をお勧めし致します。

ペンネーム:三度の飯より相場好き
個人トレーダー 投資歴:26年


キャリートレードとは、あの2000年代中盤あたりにはやった豪ドル円等を買ってスワップ金利ちゃりんちゃりんっていう取引等を指します。それもリーマンショックで壊滅的打撃を受けたということもありました(個人的にも打撃を受けたクチですw)。

そういったレバレッジを利かせたキャリートレードによってバブルやその崩壊がおこってさらに富める者と貧しい者の格差が広がるみたいな論調がなされています。個人的には、キャリートレードに加担した者しか勝たん的な考え方はどうかと思うのですが・・・。

キャリートレードといっても、スワップ狙いの通貨の取引だけではなく、オプションの売りなども含まれ、中央銀行による金融緩和もそれを助長させているとしています。しかし、フーバーみたいに放置プレイもどうかと思うので、中央銀行による金融緩和は個人的には必要なことだと思います。

しかし、この本で最も重要だと個人的に思う所は、

Q;キャリートレードはいつ終わるのか?
A;高インフレになった時。です。

ん?それって、この本が出版された2022年3月頃の話では?と気づいたわけです。その後どうなるかという一つの答えやどうしてキャリートレードが高インフレで終わるのか等は、この本に書いていますので、すぐにでも本屋へGO!です。

bblue 50代 自営業兼投資家


この書は、プロの投資家のみならず、なぜ通貨や金利、信用リスク、商品などを活用した低リスクで安定した運用益、裁定益、オプション料の受取などで稼ぐ手法であり、広義のボラティリティ売却と同義であるキャリー・トレードが今日の金融市場に蔓延しているのかを知りたい人ならぜひ一読すべき本である。

キャリー・トレードの起源、性質、手段、その仕組みを解説しつつ、VIX(ボラティリティ)などとの関係などについても言及し、キャリー・バブルはなぜ成長し、暴落し、また上昇するのか。金融市場の構造はなぜこのような傾向を助長し、また受け入れるように進化してきたのか、最終的に、キャリー体制は終わりうるのか、どのように終わりうるのかという問いに答えようとしている。

今すぐではなくても、過大なリスクテイクにより積みあがったキャリー・トレードやレバレッジ取引の巻き戻しはいつかやって来るはず。この本を予め理解し今から頭の体操をしておくのも良いと思う。

炎のディーラー 26年


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