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矢口新の相場力アップドリル 為替編

矢口新 パンローリング

 同じ著者の「生き残りのディーリング」はなかなかよい本だと聞いているが、まだ読めていない。先にこちらを読むことなった。

 用語集も含めて145ページと薄い本であるが、内容は濃い。というか、かなりよい。

 「ドリル編」として、個々の様々な材料が為替にどのような影響があるかを自分で考え、著者の解答と照らし合わせてみるという問題が多数示されている。これらの例題を直接、例えば通貨証拠金取引などに即座に適用して利益を挙げるために役立つかといえば、そうではないだろう。

 たまたまそれでうまくいく場合もあるかもしれないが、逆もあるかもしれないという程度のこと。

 ここでは著者の発想方法を学びたい。

 どのような場合にどのように対処すればよいのか?。為替に限らず値動きのある商品については売りでも買いでも自分でポジジョンを取ったとすれば、そのポジジョンの位置づけや目標を明確にする必要があるだろうし、将来のことは誰にもわからないのであるから、最悪のケース、最良のケースなどを自分の目標やその位置づけに照らし合わせて、どう対処すればいいのかをあらかじめ想定しておく必要があろう。

 その際、その判断の根拠となるものの一つは、様々な「材料」についてどのように判断するのか、考えるのかという点であり、そうした例としてはこのドリルは参考になるところが多くあると感じられる。

 非常に興味深く、かつ筋が通っており説得力があると感じられたのは冒頭の「説明編」。

 「トレンドは実需によって、ボラティリティは投機によってつくられる」というコメントは説得力がある。

さして長い文章ではないが、この最初の「説明編」のところを繰り返し読み、中味を自分のものにしておくことは、相場において、自分なりのシナリオを組み立て、かつ、その対処について考える上で、かなり有用だろうと感じた。

(ふしみん 40代 公務員)

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