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内容の多くに同意できるが、全体の印象がやや散漫
長期投資の対象として株式投資は優れていることを中心として、ファンダメンタル ズ分析、行動ファイナンス、ポートフォリオの構築などについて幅広く記述された株式投資入門書的な内容。
第一章のタイトルは「長くコツコツ続ければ株式投資はもうかる」。果たしてそう か?。主張の趣旨はわかるのだが、バブルの絶頂期に投資を始め、しかもその時期に 資産の多くの割合を株式に投資したとすれば、期間を長くとったところで、株式投資 は相当長期に渡り「もうかる」ような状況にはならない可能性が高い。つまりは、ど のタイミングでエントリーするかということが決定的に重要なのであり、これは単に 長い短いの期間の問題ではない。この点についての記述が冒頭の部分で必要ではない か。
共感したのは「具体的な目標額を決めよう!」「自分の実力を知る」「個人投資家 のメリットを最大限活用する」「予測はやめる」などの内容。
目標については、適切な目標設定を行うことは非常に重要だと思う。そして、単に 株式投資だけでなく資産運用全体で考えるという点も重要だと思う。適切(まずなん のための運用なのかが明確になり、その具体的な目標金額やゴールが無理のない形設 定できる)な目標が設定できれば、感覚的には半分は勝ったようなものではないかと 思う。無論、株でも債券でも通貨でも、その変動はあらかじめ予測できるものではな く思いがけないことも起こるが、そうしたことも含めて、基本的にディフェンシブな 姿勢で運用に臨むのがよいと私自身は考えている。
「自分の実力を知る」ことなく、過大なポジジョン、リスクを取ることは、資産運 用に「人生を賭ける」無謀な行為であり、適切な目標が設定できるということは、つ まりは「自分の実力を知る」ことがきちんとできていないと難しいとも言える。
「予測をやめる」と関わって、本書の中では「株が下がったから買うとか株が上 がったから売るという発想」という記述がある。私自身が最近行っているのは「株価 の上昇を期待するのではなく、株価についていく売買」ということで、これは下がっ たから買う、上がったから売るというのと意味としては同じである。
私自身の経験からすると、本書の中でふれられていない点でもう一つ重要なことが ある。それは「まぐれ」を生かすということである。長く投資を続けていると、IP Oでも新興国投資でも、過大なリスクは取っていないつもりなのに、たまたま大きく 利益が出ることがある。この「まぐれ」で得た利益は、さらに大きく勝負をする(過 大なリスクを取る)ための原資とするのではなく、ポートフォリオの中に組み込んで 長期運用の対象とするのがよい。そうすることにより、目標達成の確度は高まり、そ の時期が早くなる可能性も高まる。また、全体として損失を被る可能性も低下し、メ ンタル面でも楽な立場で投資を継続できるようになる。そのためには「まぐれ」に当 たる前提条件は自分で整えておくことが必要となる。
全体として、主張のほとんどのは同意できる。が、書籍としての構成の問題で全体 の印象がやや散漫になってしまっている点が惜しまれる。
(ふしみん 40代 公務員)
まず、この本では、「特定の地域や業種に集中投資しない。短 期売買をしない」ことを提唱しています。
この考え方は投資の基礎ともいうべきことでしょう。集中投資でうまくいったとき には確かに爽快かもしれません。しかし、どんなに詳しく調べ たとしても、悪材料は見つけられないかもしれません。突然の 業績下方修正により、株価が大幅に下がってしまってはなんに もなりません。集中投資にはそうした危険性は十分にあります 。また、1990年以降の日本株だけに投資していても、投資結果 はマイナスになる可能性が高いでしょう。その点で世界各国に 分散投資することは大事だと思います。そして、短期売買もや はり大部分の人にとっては、高い壁となってたちはだかるでし ょう。ごくごく一部の天才にとっては、短期売買ほどおいしい ものはないかもしれませんが、95%以上の凡人にとっては、百 害あって一利なしです。
世界が成長し続ける限り投資している全員が勝つことができる のが株式投資です。よくアメリカの長期のチャートがのってい る本がありますが、アメリカの長期チャートでは株価が右肩上 がりで推移しています。アメリカの成長とともにアメリカの株 式が成長したという証でしょう。
また、この本では下落するにしても3年までといっています。 これは確かにそうでしょう。3年をメドに買い下がれば、むく われる可能性が高いということです。
さらにこの本には、ポートフォリオの構築について4つのステ ップにわたって説明しています。この4つのステップはとても 理路整然としていて、投資する上で大いに参考になるはずです 。特に業種を5つのグループにわけるやり方は、よいやり方だ と思います。すなわち、「エネルギー、素材」「資本財・サー ビス、消費循環、IT」「消費安定、ヘルスケア」「金融」「通 信、公益」という分け方です。個人的には、景気循環株とディ フェンシブ株に大きく分けていれば大怪我はしないと思うので すが、この5つの分け方もありだと思います。
全体的に、とても良心的なことが書いてあると思います。めん どうくさいことはしたくないという人にも、巻末に簡単な投資 法がでていますので、参考になると思います。投資の基本書と しておすすめします。
(bblue 会社員 30代)
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