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一目均衡表の研究

佐々木英信 投資レーダー

 最近、チャートをオンラインで見る事が出来るソフトが大活躍していますが、 それらのソフトに普通に一目均衡表がテクニカル指標として搭載されていたり、 マーケットコメントで「一目の雲を抜けて、云々・・・」とのコメントが普通に 出されていたりする一方、「一目均衡表とはどういったものか?」という解説を した本は非常に少なく、知っている限りでは、テクニカルチャートに関して書か れた本に、数ページの説明がある位です。

 本書は、数少ない一目均衡表の解説書です。1995年から2003年において、日経 金融新聞アンケート、テクニカル・アナリスト部門9年連続トップである、著者 ・佐々木英信氏によれば、一目均衡表は著作権・商標権が登録されており、解説 書の類は許可が必要との事で、1996年現在、一目均衡表の解説書は本書のみらし いです。

 一目均衡表とは、転換線・基準線・先行スパン・帯・雲が織りなす、平面チャー トです。一般的な理解として、転換線を越えたら、雲を抜けたら、帯(雲)の中 にいる時は・・・、と様々な理解がありますが、本書では明確に「これ一つだけ で相場全体が語れるわけはなく、あくまでも均衡表(広義の)全体のバランスの 中の一つの指標である」と書かれています。

 しかし、本書を読んで行けば、どうして上記のような、いわゆるシグナル的な ものが相場の転換点になったり、買い・売りシグナルと密接な関係を持つように なるのかに当然触れており、またそれを平易な言葉で、非常に読みやすく理解し やすく、解説してあります。そこが本書の醍醐味であり、巷に溢れている、ほん の数ページの一目均衡表の解説と違う所です。

 一目均衡表は、筆者の言葉を借りれば「いつ目標値が達成されるのかという時 間論を中心として構成」されているが、全体としてはそれに付け加え、「波動論、 水準論の三本柱からなる、総合的、体系的な分析手法」であり、「精密な論理学、 解析学」です。いわゆる巷で言われている、「雲抜け」や「基準線を越えて、好 転した」とかの見方だけでは、一目均衡表を理解する事は出来ず、実際本書では、 時間論と波動論、そして、形譜にまで言及しています。それらを理解出来た時に、 初めて、オンライン上で簡単にコンピューターより描き出される一目均衡表を実 際の相場に使う事が出来るはずです。

 尚、一目均衡表は、メインとして日足チャートと併用して使うもので、本書の 中でも「酒田五法との併用」を勧めるような記述があります。罫線についての解 説書(特に、酒田罫線について書かれた著書)を読み終えた方で、更に一歩進め て、時間論的な考え方を取り入れたい方に、最適な著書だと思います。

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