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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2024/12/12 12:03,
提供元: フィスコ
PBシステムズ Research Memo(3):サイバー攻撃被害の急増はビジネスチャンス
*12:03JST PBシステムズ Research Memo(3):サイバー攻撃被害の急増はビジネスチャンス
■ピー・ビーシステムズ<4447>の会社概要
3. 事業環境
まず、同社の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業が対象としているクラウドサービス市場について概観しておく。総務省の令和6年版情報通信白書によれば、国内のパブリッククラウドサービス市場は成長を続けており、2023年には売上高で約3.1兆円(前年比25.8%増)と予想している。コストパフォーマンスや利便性に着目したオンプレミス環境からクラウドへの移行というIT業界のトレンドを背景として、今後も市場規模拡大が見込める事業分野であることがわかる。
また、同じく令和6年版情報通信白書には2028年までの同市場の推計値について、世界各地の市場の成長が続くこともあり、日本国内では約6.5兆円まで拡大が見込まれているとの記載がある。なお、同推計はパブリッククラウドサービス市場に関するものであり、同社が得意とするプライベートクラウドの市場とそのまま重なるわけではないものの、世界のみならず日本国内においても、今後の情報通信技術の進歩や各種IT関連サービスの進化などによって、クラウド分野が成長を持続する確度は非常に高く、クラウドサービス市場は基本的に良好な成長市場であると弊社は見ている。
このように、ビジネスにおけるクラウドの重要性が増す中、同時にサービスの安定的な稼働、つまりセキュリティに気を配った基盤構築の必要性が不可避的に増している。そこで、サイバー攻撃(サイバーセキュリティ)の状況についても確認する。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がまとめた「NICTER 観測レポート 2023」では、「1IPアドレスあたりの年間総観測パケット数」をインターネットにおけるサイバー攻撃関連活動の活発度を表す指標として考えている。この数値を見ると、2017年では約57万パケットが観測されていたが、2023年には約226万パケット、つまり約3.9倍の数値となっており、サイバー攻撃が数年でどれだけ活発化しているのかが一目瞭然だ。2023年と2022年の比較でも前年比23.3%増と大幅に拡大した。実際、多数の上場企業や官公庁がサイバー攻撃のターゲットとなり、多くの被害が報告されている。ランサムウェアに関しては、2024年3月に警察庁が公表した「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」で、2023年の被害件数197件のうち、52%が中小企業で、業種別では製造業が34%を占めた。同社主要顧客の中小製造業が狙われやすい状況にある。ほかにもランサムウェアの感染経路については、テレワークなどに利用される機器等経由が約81%(有効回答115件)とほとんどだった。これら被害企業は、同社のターゲット顧客層にあたることから、需要獲得機会は多いことが窺える。最近では、暗号化することなくデータを窃取するノーウェアランサムによる被害も報告されており(警察庁)、セキュリティ対策需要は続くことが予想される。
サイバー攻撃はもちろん、自然災害や事故などによって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っている同社を巡る事業環境は近年良好さを増しつつある。なお、同社はこうした状況を踏まえて2022年にEmotet対策・サイバーレジリエンス構築サービスの提供を開始した。
最後に今後中長期的に同社ビジネスの対象市場となるメタバース市場について簡単に触れておきたい。米国ではより顕著だが、国内においても既に巨額の投資資金がメタバース関連の領域に流入していることは明白だ。足元で社会的な関心が急激に高まっていることもあり、各調査会社が市場規模を推計しているが、いずれを見ても超巨大市場に成長することを示唆している。令和6年版の情報通信白書では、世界のメタバース市場は、2022年に461億ドルだったものが2030年には5,078億ドルまで拡大すると予測しており、日本のメタバース市場についても、2021年度の793億円から2027年度には2兆59億円まで拡大すると予測している。なお、メタバースの利用については、令和6年度情報通信白書で、1,030人からのサンプル調査結果から、コミュニケーションツールとして5割以上が利用の意向を示しているほか、515社の企業調査では、商品開発や製造などの用途での導入状況が10%未満と米国の60%には程遠く、市場拡大の余地は大きい。
■事業内容
システムのプライベートクラウド化を核とする
1. セキュアクラウドシステム事業
同社の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業は、一言で表現すればデジタルワーク推進からDXの実現までをクラウド技術力でトータルにサポートする。具体的には、単一企業・組織内で利用するクラウドを「プライベートクラウド」と呼ぶが、「システムのプライベートクラウド化」を核として事業を展開している。企業名で言えばCitrix、Broadcom(旧VMware)、DELL、Microsoftなどの多様な選択肢の中から、セキュリティ、ストレージ、サーバーなどのハードウェア商品及び各種ソフトウェア商品を含め、企業のDX実現の前提となる最適なクラウド基盤の提案を設計・構築・維持にとどまらずレジリエンスまで含めて行っている。また、近年大企業でも多数の事例があり、強く問題視されているのが「サイバー攻撃」だ。ランサムウェアや不正アクセスなどをはじめとした攻撃によって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っていることが同事業の特色の1つとして挙げられるだろう。BtoCで直接サイバーセキュリティ対策製品を開発・提供しているわけではないため、サイバーセキュリティ対策の専門家としての性格がややわかりにくいものの、多種多様な選択肢の中から、基幹システムとの整合性なども踏まえて、顧客にとって最適な提案を行うことができるのは、独立系のSIerである同社の強みだ。2023年には、サイバーセキュリティの世界的メーカーであるCybereasonのパートナーに同社が新たに加わり、よりその性格が強まっている。
なお、同社は売上高100〜500億円規模の中堅企業をメインターゲットとしてビジネス展開しており、近年は公共(自治体や各種団体等)領域での引き合いも増加している。同事業は、サーバーの仮想化や強靭なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」、仮想化環境に特化し、現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売を行う「プロダクツ」、顧客が望む独自機能を満たすためのスクラッチ開発(手作り開発)を行う「カスタマイザー」の3区分で構成されている(約9割が「プラットフォーム」)。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《HN》
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