トレーダーズショップ
トップかごを見るご注文状況このページのPC版


フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/03/24 13:02, 提供元: フィスコ

シンシア Research Memo(2):コンタクトレンズ専業から事業多角化を進める

*13:02JST シンシア Research Memo(2):コンタクトレンズ専業から事業多角化を進める
■会社概要

シンシア<7782>は、使い捨てクリアレンズを中心としたファブレスのコンタクトレンズ製造・販売会社である。クリアレンズの「シンシア S」「L-CON」「Eye Well」ブランドのほか、カラーレンズの「FAIRY」ブランドを展開し、国内ではコンタクトレンズの売上高ランキング上位に位置する。また、クリニックのコンサルティング事業、リユース業界向けPOSシステム開発・販売事業を買収し、事業の多角化、収益基盤の強化を進めている。

同社は2008年9月に設立され、同年11月に親会社(株)キャピタルメディカ(現 (株)ユカリア)(本社:東京都千代田区、病院経営支援、高齢者施設運営、その他医療周辺事業)からコンタクトレンズ製造・販売事業を譲り受けた。当初より、成長カテゴリーであった1日使い捨て、2週間交換、1ヶ月交換タイプの使い捨てコンタクトレンズに注力し、自社ブランド「L-CON」シリーズの販売を中心として、眼鏡量販店や卸売企業などのプライベートブランドのOEM生産を展開してきた。同社はファブレス企業であり、コンタクトレンズ製造はレンズ製造の集積地である台湾や韓国、マレーシアのメーカーと提携し、製造委託している。

2009年に視力補正を目的としないサークルレンズ、カラーレンズが「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、医薬品医療機器等法)の規制対象となったことを契機に、クリアレンズで培ったノウハウをカラーレンズに生かすため、2010年3月に1ヶ月交換カラーレンズ「FAIRY」を発売した。その後は、カラーレンズの需要の高まりとともに、デザイン、使用期限などに対する多様なニーズに対応するため、「L-CON POP」「Ultimate PEARL」「Select FAIRY」など多くのシリーズを発売した。2014年8月には(株)カラコンワークスの株式を100%取得し、カラーレンズの自社ECサイト「FAIRY REPUBLIC」での直販や楽天、アマゾンなどへの出店を強化した。

2017年には、ドラッグストア専用コンタクトレンズ「1day EyeWell」を発売し、以降ドラッグストアで取扱店舗数は伸びたが、販売は低位で推移していた。2022年2月には、市場での拡販を目的に、ドラッグストア向けにコンタクトケア商品の強い販売チャネルを持つ卸売りの(株)大木(本社:東京都文京区、大木ヘルスケアホールディングス(株)の子会社)と、同社が同年3月発売した「2week Eye Well」の独占販売契約を締結した。その結果、2022年12月期は「Eye Well」シリーズの取扱店舗数が急増し、売上高も前期比38.9%増となった。

2019年2月には、酸素透過率に優れるシリコーンハイドロゲル素材を使用したクリアレンズ「シンシア 1DAY S」を発売した。柔軟性のある滑らかなレンズで、酸素透過率も高く、潤いのあるつけ心地が特色のレンズであり、従来同社の販売が低位にあった、消費者が眼科医の処方箋を持ち込む眼鏡店やコンタクトレンズ専門量販店などの処方施設市場の拡販を狙い投入した。その戦略が奏功し、実際に眼科医、ユーザーから高い評価を受け、現在「シンシア S」シリーズは自社ブランドの6割を占める主力商品に成長している。2021年5月には、サークルレンズにおいても同素材を使用した「シンシア 1DAY S Cleche(クレシェ)」を発売した。2022年2月には、ECサイト向けに同素材を使用した「pranair(プラネア)」ブランドを発売し、拡販中である。また、2025年2月には機能性を高めた新製品として「シンシア1DAY S 乱視用」を投入した。

2021年11月には小田急電鉄<9007>が運営するECサイト「小田急みんなのコンタクト」を展開する(株)ジェネリックコーポレーションの株式を100%取得し、連結子会社とした。現在、ECサイト店舗「みんなのコンタクト」での直販、楽天、アマゾンなどへの出店により販売を強化している。この間、2016年12月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場し、2017年12月に東証第一部に移行、2022年4月には東証の市場再編に伴いスタンダード市場に移行している。また、2022年3月より監査等委員会設置会社に移行した。

また、同社では事業の多角化による成長を図るため、新規事業の開発、M&Aを進めており、2022年11月より、コンタクトレンズ事業の品質保証部署において、同社に蓄積されたノウハウを生かして薬事申請支援コンサルティング及び選任製造販売業者(DMAH)サービスを開始した。また同年11月にM&Aにより、(株)フォー・アイズ(本社:広島市中区)から医療脱毛クリニック運営に関するコンサルティング事業を譲り受けた。同社が持つカラーコンタクトの10〜20代向けのブランディングノウハウを生かして、京都、福岡、広島に展開する医療脱毛クリニックのWebマーケティング、経営管理のコンサルティングを同年12月より開始している。

2023年1月には、従前からM&Aと新規事業開発を行ってきたチームが事業推進部として独立し、M&A後のPMIも担当している。加えて2023年11月には、リユース業界向けのクラウドPOSシステム「タロス」を展開するタロスシステムズに51%出資し、連結子会社とした(その後、2025年3月に株式を追加取得し完全子会社化)。同社がコンタクトレンズ事業で培ってきたWebマーケティングノウハウとのシナジー効果が期待される。今後もM&Aを活用した事業の多角化を進め、事業領域、収益基盤を拡充する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)



《HN》

記事一覧

  • 2025/03/29 03:33:[通貨オプション]R/R、円コール買い強まる
  • 2025/03/29 01:12:BTC売り優勢、リスク資産売り、関税や米スタグフレ―ション懸念が台頭【フィスコ・暗号資産速報】
  • 2025/03/29 01:18:NY外為:BTC売り優勢、リスク資産売り、関税や米スタグフレ―ション懸念が台頭
  • 2025/03/29 00:31:NY外為:ドル続落、米スタグフレーション懸念も、米アトランタ連銀Q1GDP予想―2.8%へ引き下げ
  • 2025/03/28 23:24:【市場反応】米3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値は予想外に下方修正、ドル続落
  • 2025/03/28 22:10:【市場反応】米2月コアPCE価格指数は予想以上に加速、支出弱くドルは軟調
  • 2025/03/28 20:03:欧州為替:ドル・円はじり高、ドル買い継続
  • 2025/03/28 19:11:欧州為替:ドル・円は小じっかり、米金利に連動
  • 2025/03/28 18:44:日本エアーテック---譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分
  • 2025/03/28 18:44:ビーロット---東京都港区に販売用不動産を取得、資産運用強化へ
  • 2025/03/28 18:16:欧州為替:ドル・円は下げ一服、米金利にらみ
  • 2025/03/28 18:15:日経平均テクニカル: 大幅続落、13週・52週線がDC形成
  • 2025/03/28 18:00:28日の香港市場概況:ハンセン0.7%安で3日ぶり反落、テック指数は1.5%下落
  • 2025/03/28 17:41:サカイ引越センターなど
  • 2025/03/28 17:25:欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、米インフレ高止まりも通商摩擦懸念で失速
  • 2025/03/28 17:19:IGS---有価証券報告書における人的資本開示が「開示好事例」に人的資本経営の先進事例として金融庁が選定
  • 2025/03/28 17:06:東京為替:ドル・円は反落、夕方に下げ足速める
  • 2025/03/28 16:49:28日の中国本土市場概況:上海総合0.7%安で反落、ハイテクに売り
  • 2025/03/28 16:45:日経平均寄与度ランキング(大引け)〜日経平均は大幅続落、東エレクやファーストリテが2銘柄で約142円分押し下げ
  • 2025/03/28 16:38:東証グロ−ス指数は続落、朝高の後は見送りムード強まる