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『シリコンバレー・アドベンチャー』ジェリー・カプラン/仁平和夫日経BP出版センター B6判 428頁 1995年10月発売 1,748円+税 |
Q1 オススメ書を教えて下さい。 | ||
投資やビジネスに関する本の中には、役に立つものや勉強になるものはあっても、美しい本は少ない。これは掛け値なしに美しい本だ。 著者のジェリー・カプランは、28歳の時に、ペン入力できるコンピュータを開発するベンチャー企業をシリコンバレーに設立する。1987年のことだ。ライバルはビル・ゲイツ率いるマイクロソフト。売込み先は巨人IBMにAT&T。90年代に全盛を迎え、やがてバブルがはじけるシリコンバレーの青春時代が活き活きと伝わってくる。 94年、開発費の枯渇によって事業は清算され、著者の冒険も終わりを告げる。読後感が爽やかなのは、著者と彼の事業に出資した投資家たちが、億万長者になることを目指しつつも、一種の倫理観によって結ばれているからだろう。起業の目的とは、株主価値を高めると同時に、社会の資源活用を改善し、雇用を増やし、質の高い製品やサービスを提供すること。そんな青臭い理想を、彼らは本気で信じていたのだ。 本書の原題は『STARTUP(起業)』、邦題は『シリコンバレー・アドベンチャー』だが、現在、本のカバーは『ザ・起業物語』となっている。出版社側の、一人でも多くの人に読んでほしいとの熱意の表れだろうが、逆に紛らわしくなったようで残念だ。 本書と対をなすのが、板倉雄一郎著『社長失格』(日経BP社)。こちらは著者の構想した無料プロバイダー事業が無残に破綻するまでを描いているが、読後感はかなりほろ苦い。併読すれば、アメリカと日本の起業環境の違いが見えてくるだろう。 冨は、絶望の中からは生まれない。一人の投資家として、夢や理想をおおらかに語れる時代が再び訪れることを、切に願っている。 | ||
Q2 5点満点で採点すると? | ||
読みやすい ★★★★★ 知識がつく ★★★ おもしろい ★★★★★ 儲かる ★ 専門的 ★ 総合オススメ度 ★★★★★ | ||
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ありがとうございました。 |
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