マンガ 世界投資家列伝　バフェット　マンガー　グレアム　フィッシャー

本書は、株式市場で大きな成功を収めたグレアム、フィッシャー、バフェット、マン ガー、この有名な四氏の投資スタイルと、その背景にある家庭環境や人生哲学が書か れた一冊である。漫画という形式をとっていることもあり、非常に読みやすく、一気 に読み終えてしまった。

こういった書籍は根強い人気があるようで、過去にも彼らを紹介した書籍は数多く出 版されている。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があるように、 偉大な先人達に学ぼうとするのは、株式投資に限らず有効なアプローチなのだろう。 しかし、恥ずかしながら私の場合は、彼らの投資スタイルについて漠然としたイメー ジしか持っていなかった。その具体的手法までは理解しておらず、ましてや人物像に ついてはほとんど知識がなかった。いわゆる偉人伝のような話には、今ひとつ興味を 持てないでいた。

本書では彼らどのように株式市場に参加し、そこで巨万の富を得ていったのかについ て、象徴的なエピソードが綴られている。恐らくこれらは様々な書籍で語り尽くされ た有名なエピソードなのだろうが、私にはとても新鮮なものであり、楽しみながら読 み進められた。

とくにウォーレン・バフェットについては、子供時代に早くも商才を発揮し、グレア ムに出会って投資家としての道を究め、さらには経営者として腕を振るう様子が活き 活きと描かれている。決して冷徹なカネの亡者などではなく、人間的にも優れた人物 だと感じ、その人物像にも興味を感じた。 こうして、各人の投資理論や人となりについてもっとよく知りたい、深く学びたいと 思うと、正直この本では物足りない。漫画なので読みやすい反面、分量の制限もあっ て内容的に浅いのだ。もっとも、本書は彼らの投資法について興味を持つきっかけを 与えるものと割り切ってしまえば、内容の薄さは欠点ではない。既に彼らについて書 かれた沢山の書籍が出版されているので、さらに追求したいという欲求にはそれらの 書籍がきっと答えてくれるだろう。 私もこれからバフェットについて書かれた本を読んでみようと思う。今までは"バ フェット信者"を冷めた目で見ていたが、もしかしたら私もその一員に加わることに なるのかもしれない。

余談だが、この本をリビングに置いておいたところ、いつの間にかうちの妻が読み 入っていた。彼女はバフェットどころか、株式に関してまったく知識も関心もなかっ たはずなのに。説教臭い語り口がなく、現実のドロドロしたやり取りもないので、軽 い読み物としても楽しめるようだ。"偉人伝"のひとつとして子供に読ませるのもいい かもしれない。

(cypher 30代 会社員)

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