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トレーディングシステムの開発と検証と最適化ロバート・パルド, 長尾慎太郎, 山下恵美子 パンローリング的を絞った無駄のない解説は本当に内容が濃い。何を目指すべきなのか、そのためにどうすればよいのか、どれくらい近づいたのかなど、明確な目印をまず確認することの重要性について改めて気付かされた。おかげで、個々のプロセスが相互に関連することは分かっていても、つい偏った掘り下げ方をしてしまい、そのうち迷路に迷い込んで暗礁に乗り上げてしまうことは止められそうだ。 特に、開発から検証、最適化、評価までの流れと全体像をつかむには、最適かつ他にはない明瞭さが際立っており、本書から得た知識の質とその価値はとても大きい。 また、いざシステム設計だと意気込んでみても、ヒストリカルデータをどう加工するべきか、個々の結果をどう評価するべきかなど、素人個人投資家が独自に判断していくには多過ぎる課題の山を、サクサクと切り崩してくれた感を受ける。 各プロセスについてのフローチャートの記載はとても助かった。プログラムを組んで検証する場合、フローチャートは欠かせないが、一連の手法を組み立てる際にも混乱を防ぐことができるし、視覚的にも理解しやすい。 これまで、本当に正しい最適化の手順を知らなかったのだから、自分のシステムが”最適”であるはずもないが、本書の通りにテストしてみれば、実践で使うに足るシステムなのか、その答えをはっきりと数値で捉えることができる。そして、自分のシステムがすべてのテストをクリアできれば、間違いなく自信が持てるであろうし、システムの見せる様々な反応に対して、その理由が格段に理解できるようになることは、自己の進化にも改善にも威力を発揮することだろう。 ”勝てるシステムは存在するが、勝てるシステムトレーダーは滅多にいない”と言われる所以は、自分のシステムを十分に理解し、信じることができないからだ。そしてそれは、本書にある如く徹底的な検証と分析がなされていないためという、至極当然の原因によると分かれば納得だ。 本書は売買手法については含んでいない。だが、システムトレードに限らず、リアルトレードにおける質評価し、各自のモデルをスタート地点に着かせるためには如何なる情報を得るべきかということを学ぶためにも、読む必要のない人は少ないといえるのではないだろうか。 どうせシステムを使うなら最適な状態で使い、元々使えないシステムなら早く見切りをつけなければならない。著者の言うように、発案から完成までこぎ着ける間に愛着が湧いてくるのも事実で、そこに投じた時間と手間に比例して捨て難くなってしまうが、本書にあるステップに沿って各テストを行えば、合格ラインをクリアできるか否かという客観的な判断が下せるはずだ。 いずれにしても、正しい手法を知らずに検証を行い、部分的な評価でシステムが完成したと思い込んで市場に飛び出すべきではない、ということを早く、しかも安く知ることができたことは、私にとってとても幸運だった。
(まっちゃ 30代 脱サラ志望のSE)
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