不動産経営は「人」で決まる! 苦労人大家だからわかる、考えるべき本当の話
不動産投資に関する情報は氾濫していて、関連する書籍は多種多様なものが書店の書棚に並んでいます。こうした書籍の火付け役になったのは20年ぐらい前に出たロバート・キヨサキ著の『金持ち父さん 貧乏父さん』でしょう。本書を読んで漠然と不動産投資を始めた方も多いことでしょう。私も影響を受けて、実験と称して、表面利回りの高い地方都市のワンルームマンションを1部屋区分所有してみて、当時小さく初めてみました。不動産会社を介して実際に不動産を持ってみると、不労所得が単純に入ってくる「投資」というよりは「経営」的な要素が多分に入ってくることに気づかされました。
株やFX、先物取引のようにポジションを形成して、そのポジションの清算や損切だけを考えておけばというような単純なものではなかったということです。逆に他人資本を活用することで「他人のふんどしで相撲が取れる」というレバレッジを利かせた投資ができる点は、他にはない大きなメリットと感じています。
実験と称して20年ぐらい前に取得したワンルームマンションを1室持ってみて、不動産投資/経営のリスクも明確に認識できていた頃から先人たちの知見を参考にすべく書店に並ぶ不動産関連の書籍を私も手にしたりしたのですが、まさに玉石混合で、果たしてどれだけ役に立つのか疑問に思えるモノも多かったように思います。というのも、不動産投資成功本はどちらかというと著者が偶々放り込まれた環境下で成功できた特異なノウハウだったりするので、読者の置かれている環境と大きく異なっていたり、過去の市況から現況が大きく変化してしまったりするのであまり役に立たないものが多かった印象を受けていました。
こうして始めた不動産投資/経営でしたが私自身、試行錯誤を繰り返す中、リスクを最小化するための適切な対処法がわからず、逆にリターンを最大化できる方法を見出せなかった期間が10年以上続いていました。そこで腰を据えて不動産を投資/経営するにあたり、全体を俯瞰してレベルやステージに応じて参考になる普遍的なノウハウの詰まった本を随分前から探していました。
そんな中で手にしたのは、不動産物件の取得(金融機関からの融資)からローンの完済・物件売却までを全体俯瞰した本書でした。著者自身が数多くの打席に立った上で得た失敗・挫折を含めた豊富な経験が随所に散りばめられた本書の内容は一見に値します。金融機関との金利引き下げ交渉のこと等、他書ではまず出てきません。他の不動産投資成功本は少ない打席から得られた偶然の産物も多くあるように思います。本書では何がうまく行き、何がうまく行かないか、どのように取捨選択して難題を乗り越えたか、泥臭い話も多く、実際に不動産経営をする上で参考になる点が多かったです。他書と比較して不動産投資/経営のリスク・デメリットとリターン・メリットをしっかり挙げられている点も、著者の経験の裏打ちによるものと推察します。
本書でまず著者が口酸っぱく主張する「不動産投資ではなく不動産経営」、「不動産経営には常に「人」との接点がある」というフレーズは初めて自宅以外の不動産を取得した人にとっては必要な視点でしょう。取得した不動産を生かすも殺すも、自分の周りに形成する「チーム」次第だからです。優秀な「チーム」を形成できると「経営」というほどには手を煩わされず、当初想定していた「投資」という形に近づいていくのではないかというのが本書を読み終えた後の感想でした。優秀な「チーム」を形成するための実際の打ち手をどうすると良さそうか、触れている点も本書の素晴らしいところだと思います。
結局のところ、不動産の収益を決める要素として最も大きいのは家賃収入、つまるところ空室率をいかに下げるかが肝であり、収益性の高い物件の情報をいかに巧く入手できるかにかかっています。この点を考えた場合には「人との繋がり」は重要です。1軒目取得後に10年以上の間、様子見を決め込んで不動産取得を拡大しない期間が私の場合には続いてしまったのですが、それは良い「チーム」を組める気がしなかったからでもありました。最近になってようやく良いチームが組めそうな不動産会社と出会えたので、不動産の取得も再開していますが、本書にもっと早く出会えていたら機会ロスの期間も大幅に短縮できていたように思います。したがって、これから不動産投資/経営を始めてみたい人、一旦始めてみたけど拡大するかどうか迷っている人、もっと効率よく拡大したい人にとっては丁度良い本だと思います。
ぽーちゃん 会社員
投資歴:FX・先物15年、不動産投資18年
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