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KAPPA氏のウェブサイトは以前に見たことがあり、興味深い内容だと感じていた。しかし、「東大卒医師が教える」という前書きはいるのか?。まあ、販売サイドからの要請なのだろう。
書籍の内容は株式と関わる様々な指標について、なにが銘柄選択の上で有効かを多様な資料の引用を通してまとめたもの。アクルーアルなど、私自身、馴染みのなかった指標もあり、参考となるところがあった。全体としては真面目で有用な内容になっていると感じた。
但し、全体に他の書籍や研究からの引用が多く、結論としても著者独自のオリジナルな見解は見られない(それがいけないということではないが)。その結果、読んだ後の印象は「どこかで見た」「どこかで読んだ」という感じが強くなってしまっている。
著者は効率的市場仮説の立場に立つものではないが、テクニカル分析の否定やファンタメンタルズ分析の難しさについては、大御所マルキール氏の「ウォール街のランダムウォーカー」の指摘と同様の内容であり、指標に基づく市場全体の分析については、著者自身もいくつか参考文献をあげてもいるが、「ウォール街で勝つ法則」(ジェームズ・P・オショーネシー) や「 株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド」(ジェレミー・シーゲル) などの内容と重なるところが多い。
行動ファイナンスについての指摘も全体として常識的なものとなっている。
また、意識的に著者はそうしているのだろうが、本書では個別銘柄についての指摘が一切なく、その事が本書を親しみやすさの乏しいものにしてしまっている感がある。これは、私自身が数学が苦手でΣなどが出てくると、「あー、もうわからん・・」となってしまうという読み手側の都合もあるのだが(こういう人は結構多いとは思う)。 著者自身、個人投資家であるならば、自身が投資している銘柄について、その分析の方法や視点について具体的に示すところがあった方がよかった。ポジジョントーク的な内容が嫌なのであれば、既に売買を完了した銘柄でもよかったので。
終章に「個人投資家としか心がけたいこと」とした内容がまとめられている。私自身は表面上著者の指摘と逆のことをしているところが随分とある。マネー誌は読むし、「観察」はするし、個人投資家のコミュニティにも参加し、他の投資家と競争もしている。これらは本書の指摘とは逆である。但し、いずれの場合も、それを直接的に投資、銘柄選択、売買の参考としたりすることはない。どれも「楽しみ」としてしていることであり(例えば、マネー誌は週刊誌を読むのと同じようなものだし、他の投資家との競争で人の売買から影響を直接的に受けたり他の人に勝つための売買を無理にしたりはしない)著者の指摘の内容なり趣旨そのものは理解はできる。
次回、本書の原則と関わって個別銘柄について具体的に言及した続編を希望したい。
(ふしみん 男性 公務員 40代)
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