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陳アソシエイツ代表/アナリスト
陳満咲杜様
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陳アソシエイツ |
祝・トレーダーズショップさん10周年
私は1992年末に来日しましたが、株投資を始めたのは96年に入ってからでした。アルバイトで貯めたお金で、学費や生活費を払って、手持ちに残った金額で低位株を買えるようになるには時間を要しました。投資を始めた頃、図書館に篭って投資関連の本をたくさん読みましたが、がっかりしたことが多かった気がします。
要するに、当時の投資関連書籍は安っぽい「株式投資入門」のようなものや、バブル期にたまたまうまくいった手法、ある意味自慢のための「手口」披露のものが多くありました。当時、バブル崩壊後の暗い世の中でもあり、周囲の若者は誰も株投資をしておらず(株投資自体がオヤジくさいといわれていました)、投資関連の書籍は「古い」概念にとらわれたものばかりでした。「陰線とは、陽線とは」から「酒田五法」「一目均衡表」まで、チャートの概念を簡単に解釈し、同じ内容を繰り返すものが多い一方、小説『赤いダイヤ』でも読んでいるような「相場師」の物語やもっぱら精神論の書籍が多々ありました。
仕方なく、私は香港へ行ったときに、良書を求めて英語や中国語で書かれた本を買いました。中国で作られた投資本によいものは少ないのですが、欧米の投資関連本の中国訳で良書がたくさんありました。今でも鮮明に覚えていますが、当時は「目から鱗」で、欧米投資関連本のクオリティに感服していました。失礼な言い方をすれば、昔の山一證券と現在のゴールドマンサックスのように差があり、同じ次元で比べるものではないと思いました。山一證券は投資商品を販売するゼネラリストであるのに対して、ゴールドマンサックスは投資そのものを専門とするスペシャリストです。日本と欧米の投資関連の本もそのぐらいの差がありました。
しかし、パンローリング社の書籍と、トレーダーズショップが登場してからは、その不満が大分解消されたと思います。なにを隠そう、私はパンローリング社から出版された本でたくさん勉強してきましたし、いまだに本棚にはトレーダーズショップで購入した本を一杯詰め込んでいます。そして、いつかパンローリング社から自分の本を出せたらいいなと密かに願望を持っています(笑)
最近日本でも数多くの質の高い投資関連本が出版されていますが、個人投資家に質の良い書籍との出会いの場を提供してくれるトレーダーズショップの功績が大きいと推測しています。これは、日本の個人投資家にとって非常に喜ばしいことです。
トレーダーズショップさんが10周年を迎えられたことを、心よりお祝い申し上げます。
陳満咲杜
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