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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/01/08 11:31, 提供元: フィスコ ヤマタネ Research Memo(1):2025年3月期第2四半期は大幅増収ながら、成長に向けた投資で減益に*11:31JST ヤマタネ Research Memo(1):2025年3月期第2四半期は大幅増収ながら、成長に向けた投資で減益に■要約 ヤマタネ<9305>は1924年7月3日(大正13年)に山崎種二が廻米問屋として創業し、2024年7月にグループ創業100周年を迎えた。コメ卸売販売の食品事業を祖業に、大きく変動する社会情勢、市場のニーズに応え、事業領域を拡大しており、現在は「物流(国内物流・国際業務)」「食品(コメ卸売販売・加工食品卸売販売)」「情報(メインフレームの技術支援やソフトウェアの開発・販売・サポート)」「不動産(オフィスビル賃貸)」と4つの事業を展開する総合サービス企業である。 1. 2025年3月期第2四半期の業績概要 2025年3月期第2四半期の連結業績は、売上高38,273百万円(前年同期比38.4%増)、営業利益1,489百万円(同18.7%減)、経常利益1,430百万円(同4.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益975百万円(同31.1%減)と大幅な増収ながら、各段階利益は減益となった。同社は中間期決算発表に併せて通期業績予想の一部修正を発表した。売上高は上方修正し、営業利益及び経常利益を下方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益は期初予想を据え置いた。大幅増収の主因は、2023年10月に子会社化した(株)ショクカイの業績寄与である。精米販売や玄米販売が前年同期を下回ったものの、ショクカイの売上が事業所給食向けを中心に堅調に推移した結果、ショクカイの売上が減収をカバーし増収で着地した。物流部門は倉庫事業に関する新規受託業務や国際業務の取扱件数が増加したほか、情報部門は汎用機基盤の開発・運用関連の業務受注が堅調で増収となった。不動産部門は2024年3月期取得の賃貸用物件をはじめ、既存物件の高稼働率維持により増収を確保した。利益面では食品部門でショクカイの連結効果があったものの、物流部門での外注費用や本牧新倉庫に係る不動産取得税や減価償却費の増加のほか、情報部門におけるセキュリティ強化対策に伴う費用計上が響き、総体で前年同期比減益となった。今後IT関連や人的資本関連の将来に向けた投資が予定されているため、業績予想の下方修正に踏み切ったが、将来の業績拡大に向けた一時的な成長投資と留意しておきたい。 2. 2025年3月期の業績見通し 修正後の2025年3月期連結業績予想は、売上高81,300百万円(前期比26.0%増)、営業利益3,230百万円(同7.3%減)、経常利益3,100百万円(同2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,640百万円(同6.1%増)と大幅な増収となるが、営業利益及び経常利益については減益を見込む。2024年3月期にグループ入りしたショクカイの通期寄与を主因に増収となることに加え、上期に見られたコメの卸売販売における供給面の課題が新米の流入で緩和され、下期にかけては量販店を中心に精米販売の好調が期待されることなどを受け、売上高を上方修正した。一方、利益面では減益要因として、物流部門における一部荷主の解約による影響や、IT関連や人的資本などの将来に向けた基盤整備に係る投資の増加が挙げられる。IT関連投資では、セキュリティ強化施策のほか、倉庫管理システムの刷新に向けた投資を行う予定である。人的資本投資については、2023年10月に発表した、社員に対する譲渡制限付株式報酬制度などが挙げられる。なお、当期純利益については一部事業の売却などによる特別利益の計上が見込まれるため、予想を据え置いた。業績予想を一部下方修正したが、将来の成長などに向けた前向きな投資が主因であることから、特に不安材料は見当たらないと弊社では見ている。 3. 新中期経営計画「ヤマタネ2028プラン」 同社グループは2022年5月、変貌する外部環境の中でサステナビリティ経営の高度化を目指し、目指すべき企業像を描いた長期ビジョン「ヤマタネ2031ビジョン」(2023年3月期〜2031年3月期)を策定した。9ヶ年を通じて目指す姿(ビジョン)として、「物流と食の流通を通じ、より豊かな社会づくりにチャレンジしていく」を設定した。この長期ビジョンにおいて着実に前進するため、同社はさらに3ヶ年の中期経営計画「ヤマタネ2025プラン」(2023年3月期〜2025年3月期)を策定した。最終年度の2025年3月期業績予想を達成することで主要KPIを達成する見込みだ。また、新中期経営計画として「ヤマタネ2028プラン」(2026年3月期〜2028年3月期)を策定した。長期ビジョンの成長期と位置付け、将来の企業価値および株主価値の向上に向けて、投資効果を最大化するための施策を展開する。KPIとして、2028年3月期において売上高880億円、営業利益47億円、EBITDA92億円、ROE6.5%以上、総還元性向70〜80%という目標を掲げた。CAGR(年平均成長率)については売上高2.7%、営業利益13.7%と、特に利益面で高い成長を目指す。最重要課題のROEはバランスシートを改善することで達成を図る。 ■Key Points ・大型M&Aにより100%連結子会社となったショクカイが業績に大幅に寄与 ・2025年3月期は将来に向けた成長投資を行うことで減益となる見込み ・新中期経営計画「ヤマタネ2028プラン」を策定、2028年3月期にROE6.5%以上の達成を目指す (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《HN》 記事一覧 |