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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/01/14 15:33, 提供元: フィスコ ファインデクス Research Memo(3):医療データ管理システムや文書管理システムを開発・販売(2)*15:33JST ファインデクス Research Memo(3):医療データ管理システムや文書管理システムを開発・販売(2)■ファインデックス<3649>の事業概要 (1) 医療ビジネス 医療ビジネスは、大学病院からクリニックまで全国の医療機関へ、診療を支援するソリューションを提供している。医療機関では診療科ごとに高い専門性が求められるため、様々な診療科に合わせた各種システムを提供しているほか、それぞれのシステムが持つデータを一元管理することで診療業務の効率化や医療の質の向上に貢献している。 主要製品は売上高の約3割を占める画像ファイリングシステム「Claio」である。紙カルテレス化を行う過程で取りこぼされやすい画像やデータを効率よく管理し、さらに価値ある利用を行うための機能を搭載した医療用データマネジメントシステムである。この他の製品として、オンプレミス系システムでは統合閲覧システム「ClaioDashboard」、医療ビッグデータ検索システム「UniversalSearcher」、診療記事記載システム「C-Note」、電子カルテ「REMORA」、放射線レポートシステム「ProRad RS」、紹介情報管理システム「PDI+MoveBy」等に加え、文書作成システム「DocuMaker」、医療機関の事務部門向け文書管理システム「DocuMaker Office(医療機関)」などがある。クラウド系システムでは診療情報遠隔共有アプリ「Remotalk-Cloud」、患者案内アプリ「Medical Avenue」、大規模医療機関向けオンライン診療システム「On診」、電子トレーシングレポートサービス「AAdE-Report」などがある。 2023年9月にはクラウドサービスを中心とした新たな製品ブランド「PiCls」を立ち上げた。「Medical Avenue」をブランドのコア製品と位置付けたうえで、医療コミュニティーの形成をサポートする各種機能の充実を図ることが狙いだ。同日には診療情報転送システム「PiCls Referral」及び初診インターネット予約サービス「PiCls 予約アシスタント」の販売も開始した。また2024年6月には小規模医療機関・診療所向けの診断書等文書作成サービス「DocuMaker Cloud」、生成AIを活用した医療文書向け文章生成ソリューション「CocktailAI」の提供を開始した。「CocktailAI」は、連結子会社フィッティングクラウドが京都大学医学部附属病院と共同開発したもので、当面は「DocuMaker」に組み込む形で提供(月額課金)し、今後は同社の電子カルテ「REMORA」や他社製品への組み込みも推進する。なお「CocktailAI」は2024年10月に開催されたGoogle Cloud主催「Generative AI Summit Tokyo ’24 Fall」のピッチコンテスト「第2回生成AI Innovation Awards」において優秀賞を受賞した。 2024年12月期第3四半期累計の全社売上高に対する医療ビジネスの売上高構成比は94.8%で、サービス種類別の内訳はソフトウェアが51.1%、ハードウェアが8.4%、サポートが27.5%、その他が7.8%となっている。同社のシステム販売は、現状は医療機関が自社サーバを利用するオンプレミス系システムが主力となっている。医療機関においては災害対応や個人データ保護など高度なセキュリティが求められるためである。ただし中長期的なクラウド化の流れに対応してクラウド系システムの開発・拡販にも注力している。 (2) 公共ビジネス 公共ビジネスは、医療機関向けソリューションで蓄積したノウハウを活用し、官公庁・地方自治体の行政DXや医療機関の事務DXを支援するソリューションとして、法律に準拠した公文書管理・電子決裁システム「DocuMaker Office」やDX推進コンサルティングを提供している。販売戦略としては、代理店販売が中心の中小規模の案件での導入実績を積み上げながら、直販によってマーケットサイズの大きい独立行政法人、公社・公益法人、大規模自治体へのアプローチを強化している。2024年12月期第3四半期末時点の導入施設数は累計48件(自治体向けパッケージが39件、医療機関向けパッケージが9件)となり、サービス開始以来の解約数は0件を維持している。今後も事業拡大を見据えた人材採用・育成、代理店の新規開拓と連携強化を推進する。 (3) ヘルステックビジネス ヘルステックビジネスは、新しい発想と最先端の技術によって新しい視野検査方法を確立し、自覚症状に乏しい視野異常の早期発見やビッグデータを活用したビジネスの展開に取り組んでいる。具体的には2019年2月に視線分析型視野計「GAP-screener」の国内医療機器届出が完了して販売を開始、2021年4月にハイグレード版の視線分析型視野計「GAP」(国内医療機器届出は2019年1月に完了)の販売を開始した。世界初の測定方法を採用して京都大学医学部附属病院眼科とともに自社開発した視野検査装置である。 既存製品の場合は、患者が自身の感覚で「見える/見えない」を判断するため、間違い・思い違いが発生する可能性があるが、「GAP」の場合は、検査機器が自動で「見える/見えない」を判断するため、間違い・思い違いが発生しないというメリットがある。このほか既存製品に対する優位性として、3〜5分で両眼の検査が終了するため1日当たりの検査数が増加すること、ヘッドマウント型で持ち運びが可能なうえ、暗室も不要なため場所を選ばず待合室・往診・健診でも検査ができること、一般的な視野検査装置と違い検査中に眼が動かないように一点を見つめている必要がないため検査対象者の負担が少ないことなどが挙げられる。 事業戦略としては、国内では医療機関(一般病院2,360施設、クリニック8,244施設)への機器一式販売を眼科機器ディーラー等の代理店が、健診施設・人間ドック(1,799施設)への健診版「GAP-screener」の販売(検査ごとの従量課金方式)を同社及び豊田通商<8015>が行う。海外に関しては2022年8月に欧州医療機器規制(EU-MDR)の各種手続きが完了し、2023年12月に(株)レクザムを通じて欧州・中東・北アフリカ地域向けに「GAP」の出荷を開始した。レクザムのOEM製品として約50ヶ国で「FIELDNavigator」の名称で販売される。またインドでの販売に向けて薬事承認の準備を進めている。 さらに「GAP」はMCI※(軽度認知障害)の発見にも有用であるため、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度医工連携・人工知能実装研究事業において「視点反応・眼球運動のデジタルフェノタイプを活用した軽度認知機能異常スクリーニングプログラムの研究開発」に採択(京都大学と共同)された。視野検査による軽度認知障害の早期発見や診断装置の開発を目指して大学病院との共同研究を進めている。 ※ MCIはMild Cognitive Impairmentの略で、軽度認知障害と呼ばれる。認知症と完全に診断される一歩手前の状態を指す。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《HN》 記事一覧 |