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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/01/20 14:01, 提供元: フィスコ ランドコンピュ Research Memo(1):課題解決に注力、2026年3月期業績改善を目指す*14:01JST ランドコンピュ Research Memo(1):課題解決に注力、2026年3月期業績改善を目指す■要約 ランドコンピュータ<3924>は、2021年1月に創立50周年を迎えた独立系中堅システムインテグレータである。安定事業基盤のシステムインテグレーション・サービスとインフラソリューション・サービスに加え、成長事業と位置付けるパッケージベースSI・サービスが積極的なM&Aにより急拡大している。これまで順調に増収増益基調が続いてきたが、2025年3月期上期は特定顧客向けで不採算案件が発生、営業減益に転じる見込みで、2025年3月までに当案件を予定どおり収束できるかどうかが株価反転に向けた注目点となるだろう。 1. 2025年3月期上期の業績概要 2025年3月期上期の業績は、売上高が前期比4.5%増の6,754百万円、営業利益が同37.1%減の479百万円、経常利益が同36.2%減の495百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同30.4%減の365百万円となり、期初に発表した上期業績予想である売上高6,750百万円に対してはほぼ想定線だったが、営業利益806百万円、経常利益815百万円、親会社株主に帰属する当期純利益554百万円に対しては、すべての利益項目において大幅に下振れての着地となった。これは特定顧客向けで不採算案件が発生し、第1四半期決算時に受注損失引当金の計上を余儀なくされたことが大きく影響した。当該案件は引き続き最終引き渡しに向けて取り組んでいる最中であり、下方修正した業績予想の範囲内で着地できるかは依然として予断を許さない状況にあるとみられる。 2. 2025年3月期の業績見通しと中期経営計画の進捗状況 2025年3月期の連結業績は11月13日に下方修正が発表され、売上高が14,420百万円から14,200百万円(前期比3.4%増)、営業利益が1,860百万円から1,230百万円(同28.9%減)、経常利益が1,900百万円から1,265百万円(同27.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,267百万円から840百万円(同31.9%減)へとそれぞれ引き下げられた。売上高はほぼ期初の見通しどおり進捗する計画だが、営業利益以下は特定顧客向けの不採算案件が影響し、大幅に下方修正された。当該案件は現時点では2025年3月までの最終引き渡しを予定しており、予定どおり収束すればあくまで一過性の損失計上として2026年3月期以降の業績には影響しない見込みだが、ほかの案件で同様の採算性の悪化などが生じることがないかどうか、引き続き注視は必要である。また、2025年3月期上期の業績が当初想定比で大幅に悪化したことを踏まえると、同社が中期経営計画で掲げる2026年3月期の経営数値目標の達成ハードルはやや上がっていると弊社は考えている。 3. 配当政策と東証プライム市場への上場維持に向けた取り組み 同社は中期経営計画「VISION2025」において、2026年3月期までの3ヶ年の配当性向基準を50%以上とし、従来の40%以上から引き上げた。今期は通期業績予想の下方修正を発表したものの、1株当たり配当金は36.0円で据え置いたことから、結果的に配当性向予想は76.9%となっている。弊社では、2025年3月期については更なる配当性向の引き上げ余地は大きくないものの、同社の堅固な財務体質や好調な業績を踏まえると、2026年3月期以降も1株当たり配当金は2025年3月期の36.0円を下回ることはないと考えている。また、同社では東証プライム市場への上場維持に向けた取り組みを進めてきたが、流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準である100億円以上に達していない状況だ。 ■Key Points ・2025年3月期上期は期初計画に対して売上高はほぼ想定どおり進捗したものの、不採算案件が発生し大幅に下振れて着地。増収増益基調が途絶えて、2025年3月期は減益へ転じる見通しに ・2025年3月期は中期経営計画2年目として増収増益を計画していたが、11月13日に通期業績予想についても大幅に下方修正された。不採算案件の早期収束と他案件への波及を防ぎ、再び増益基調へ戻せるかが2026年3月期以降の焦点に ・1株当たり配当金は36.0円で据え置き。今後も同社では減配を避け、着実な配当の維持・増配ができるように株主還元を進める方針。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹) 《HN》 記事一覧 |