相場の検証について、その重要性を再認識させられた本です。
のっけから“この本の手法を鵜呑みにする必要はありません!”というと、なぜオススメにするのかという声が返ってきそうです。それに対する私の答えは、冒頭のコメント通り“検証が重要だから”というものです。自分で検証した結果でなければ、マーケットで戦うための手法になり得るとは言い難いでしょう。同書に掲載されている手法は著者が長年の相場の検証を通じて確立したものであり、大幅上昇銘柄について克明にその特徴を列挙してくれています。行き当たりばったりに検証を繰り返すより、同書を読んだほうが手っ取り早く何を検証すれば良いかのヒントをつかむことができます。
なお、“この本の手法を鵜呑みにする必要はありません!”ということは、同書に掲載されている手法がインチキであるということと同義でないことを強調しておきます。詳しくは同書を見ていただきたいのですが、四半期利益の伸び率が高い銘柄、レラティブストレングス(株価の相対的な強さを表す指標)の高い銘柄などは、日本の株式市場においても急騰銘柄となる可能性が高いということを証明できます。むしろ、本当は“鵜呑み”にしても良い手法がたくさんつまっているのです。
また、ポートフォリオの管理について言及されている点も特筆すべき点でしょう。組み入れる銘柄はもちろん、それをどのようなタイミングで、どのような規模で組み入れるかが投資成功のカギを握るという点に異論はないでしょう。相場関連本の多くが銘柄選別手法のみを言及しているのに対し、同書は全てを網羅しています。
類書には『オニールの成長株発掘法』があります。基本はどちらも大きく変わらないが、『オニールの相場師養成講座』のほうが最新の検証結果が掲載されていること、チャート内の解説が詳細であることなどに特徴があると言えるでしょう。