いま現在、国内では「預金から投資へ」という大きな流れを受けて、投資信託の販売残高は12ヶ月連続で過去最高額を更新し続けています。
一方で、個人投資家の多くは(とても残念なことなのですが)十分な投資知識を持っているとは言えないようです。
昨年、ある証券会社が株取引経験者1,036人を対象に行った調査によると「1年後に投資で手に入れたい」と思っている目標利益率は平均で42.5%!、投資を始めて半年以内の初心者にいたっては、なんと125.7%という白昼夢でも見ているかのような利益率を望んでいるというのです・・・。
プロ野球の世界では、3割の確率でヒットを打ち続けると一流野手と見なされます。
もしも新人選手が「6割打者を目指す」と意気込みを語ったならば、
その選手に将来性はありません。たとえ若気の至りだとしても、
自分の戦場をまったく理解せず、非現実的な目標を立てているのですから。
成熟した社会で穏やかに暮らしていくには、どうしても投資が必要になります。しかし、「鉄火場」と呼ばれる証券市場と相対するのに、市場そのものを知らないならば、勝負となりようがないのは自明でしょう。
では、個人投資家の正しい行き先を示す羅針盤は、どこにあるのでしょうか?
私は、偉大な先人たちの声に耳を傾けることだと信じています。
今回オススメする「投資の巨匠たち」には、ノーベル経済学賞の受賞者、有名大学の教授、大手運用会社の創業者やCIO、研究機関の所長、著名コンサルタントといった世界最高峰の英知がコンパクトに収められています。
私は第1章のマーコウィッツ氏や第2章サミュエルソン氏、第7章のブリンソン氏、
第9章のシャープ氏から強く影響を受け、現在の資産運用に役立てていますが、
一方で、シーゲル博士やリチャード・セイラー氏の考えは、証券市場という
得体のしれないものを俯瞰する、新たな視点を用意してくれます。
投資とは(とても残酷なことですが)敗者だけが希望を求め、
勝者は幻想を捨てさることから始まります。
「投資の巨匠たち」で、まずは市場の現実と常識を知ることこそ、いまの国内個人投資家に求められているスタートラインとも思えるのです。