20年前の水準に逆戻りした日経平均などをみて株式長期投資に対する懐疑的な見方が強まる一方で、主要先進国の国債利回りは歴史的な低水準で投資魅力に薄く、さらに今後金利が上昇して債券価格が下落するリスクも高まっている。
このように疑問符が付けられつつある従来の投資とは違った投資対象として、個人投資家にはなじみの薄いヘッジファンドやコモディティ、不動産などのオルタナティブ投資を取り上げ詳しく解説したのが本書です。
説明が非常に丁寧になされており、本書を一読すれば各オルタナティブ投資の特徴がしっかり掴めます。特にヘッジファンドの章には多くのページが割かれており、ヘッジファンドに関する曖昧だった点や疑問点が解消できると思います。
ただし、金融危機以前に書かれたこともあってリスク評価が若干緩いようにみえる点もあります(例えば金融情勢によってはリートの資金調達が困難になり破綻懸念が強まって価格が急落する可能性があるといった指摘がない点など)。
本書を通してオルタナティブ投資の特徴を学べば、ETFなどの様々な金融商品を通して実際にそうしたオルタナティブ資産に投資したり、もしくは自分でヘッジファンドに似た運用をするといった形で知識を実践に繋げていけるのではないかと思います。