著者の佐々木氏は、95年〜00年まで機関投資家が選ぶアナリストランキングにおいて6年連続NO.1(日経新聞主催、テクニカル部門)を継続中の業界では知らない人がいない有名人。90年の株式大暴落、95年の100円割れなど過去の実績をあげたらキリがない。一目均衡表をベ−スとした相場分析、予測に関する「佐々木理論」は機関投資家の間で絶大なる信頼を寄せられている。仏教思想を取り入れたその分析手法を評し、フィナンシャルタイムズで“Buddhist Analyst”と紹介されたこともある。
処女作である『経済大動乱』は、一躍佐々木氏の名前を広め、同書発行直後にアナリストランキングNO.1へと押し上げる原動力となった。構成は「資本市場から世界を観測する」「人間は天体の波動に動かされている」「文明興亡の論理を読み抜け」「未来の時間を読み切るための黄金の法」「その巨大災害はいつ起こる」「最後の天地大動乱」の6章からなる。95年発行の同書ではあるが今読み返してもなんら違和感はない。すでに、ベストセラ−の仲間入りをしている同書だけに手に取られた方も多いだろうが、まだの方は、「佐々木理論」の入門編として活用されたし。
第二作目の『一目均衡表の研究』は、佐々木氏が長年研究してこられた「一目均衡表」の解説書である。一目均衡表については発案者である一目山人が均衡表7部作を発行しているが、90年以降相場の動乱期において一目の名前だけが一人歩きしてきたきらいがある。そこで、一目均衡表の著作権および商標権を保有する(株)経済変動総研には現代版一目均衡の解説の出版の依頼が多く寄せられるも、一目山人が亡くなられ解説の適任者がいないことで、なかなか実現しなかった。しかし、経済変動総研に、均衡表原著に対する深い洞察力とその人格を買われて、数多いる先人たちの一目研究家を押し退けて佐々木氏に白羽の矢が立って実現したのが同書である。若かりし場立ち時代、佐々木氏はこの一目均衡表の考え方を実践して稼いでこられた経験を持たれる。これ以上の一目均衡表の解説書はまず誰にもかけない。
第三作目の『相場と精神』は、タイトルにある通り単に相場にこだわった内容ではない。「縁起の章」「波動の章」「心の章」「烈震の時代の章」「業の克服の章」「光明転回の章」という構成で成り立ち、佐々木哲学の真髄が展開されている。既存のテクニカルアナリストとの違い、なぜに機関投資家に絶大な人気があるのかという理由がこれを読むとよく分かる。要するに、分析の幅、歴史観、人間の奥行きが数多の人より秀でているのだ。陳腐な中身の相場の本が氾濫する中、よりレベルアップしたい投資家にとって本書を手に取って決して損はない。ここにはまた新たな世界が広がっている。
佐々木氏は最近、同書の続編にあたるコラム「生々流転」をHP上でスタートされた。また、92年の超予測研究会設立メンバ−の一員として定期的にセミナー講師を務める。「クラインの壺」の中では「大転換の時代の相場探求」「21世紀の新技術」「成果を高めるための投資の鉄則」などの連載が人気を集めている。