トレードステーション入門 やさしい売買プログラミング
西村貴郁,
West Village Investment
パンローリング
A5判 250頁 2006年12月発売
本体 2,800円 税込 3,080円
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システム売買とは客観的売買ルールの確立である
「売買戦略」「自己規律」「資金管理」――。投資で大成するために最重要かつ不可欠なものとして、よく挙げられるポイントです。本書の目的は、そのなかの売買戦略に焦点をあて、「売買ルールをプログラムする」というアプローチで、売買戦略をシステム売買として洗練させてゆくことにあります。
「売買戦略」とは、突き詰めれば「どのタイミングで、その金融商品を売買するか?」です。より簡単に言ってしまえば「安く買って、高く売る」あるいは「高く売って、安く買い戻す」ために「いつ行動するか?」に尽きます。
その答えとなるのが「ルール」です。将来的かつ確率的に「総じて」有利な結果になると思われる売買のタイミングをルールによって明確にします。つまり、売買戦略をルールとして確立し、一貫させることによって、そのルールの持つ優位性が総じて実現することを期待するわけです。
実際、ほとんどのトレーダーが独自のルールを持っています。例えば、モメンタム指標がマイナスからプラスに動いたら買う、あるいは短期移動平均線が長期移動平均線を上から下にクロスしたら売る……などです。
ところが、売買を執行する主体が生身の人間であるところに、トレードの本質的な問題が潜んでいます。常に平静にトレードできるわけではないからです。一時的な感情に左右されたトレードは、ルールを履行できずに機会を逃してしまったり、損失を膨らませてしまったりする可能性を高くしてしまいます。
ルールに直感や感情といった主観的な要素を多分に交えてしまうと、その優位性を総じて実現させることは期待できません。ルールは一貫して実行してこそ、初めてその確率(優位性)を期待できるのです。
システム売買は、まさにこの「ルール」を客観的に数字から判断し、貫徹しようとする試みに他なりません。あらかじめ決めた数字に従いますから思惑や直感に惑わされず、自動的に淡々と、一貫して「ルール」を執行できます。システム売買は常に明確かつ客観的なトレードを実現させるために最も効果的なアプローチなのです。
また、自分の手法を数値化し、システム化することで、今までトレードにあてていた多くの時間をシステムの「検証」にあてることができます。その時間を活用してルールの持つ優位性を最大限に発揮させるための工夫を考案できるのです。
システム売買のもうひとつの長所に、数値化した「ルール」を検証し、さらに進化させていくための時間を投資家に与えてくれることが挙げられるでしょう。
なぜトレードステーションか
本書は米国のトレードステーション社が開発したソフト「トレードステーション」を対象に、システム売買の世界を紹介していきます。
トレードステーションは、プロのトレーダーたちのシステム運用手法を個人でも利用できる環境を提供している画期的なソフトです。まさに「システム売買と言えばトレードステーション」と言っても過言ではないでしょう。
それを象徴するのがトレードステーション社の商標です。「ルールベースド・トレーディング(Rule-Based Trading)」。つまり「ルールに基づいてトレードを執行する」ことを意味しています。
現在、日本でトレードステーションを利用して実際の運用を行っている投資家は、まだまだ少数だと思います。いろいろな理由が考えられますが、一言で言えば「とっつきにくい」というのが理由ではないでしょうか?
トレードステーションの投資プログラムは非常に難解そうに見えます。何の知識もなければ全く理解不能でしょう。ただ、順を追って学習していけば、けっして理解できないものではありません(トレードステーションのプログラミング言語は、まさに“イージーランゲージ”と呼ばれています)。
トレードステーションで自分の理想とする戦略がプログラム化でき、かつすべてを自動で運用できたら、どんなに便利か想像してみてください。現在、巷で言われている“自動運用”など単なる条件注文にすぎません。真の自動運用とは、まさに投資における最初から最後までを判断する戦略(ストラテジー)そのものなのです。
先ほども述べたように、トレードステーションを使ったトレード環境は、まだまだ日本では限られています。しかし、投資の本場、米国ではすでに当たり前のように実践されている環境です。
投資の世界では、米国で起きていることが結局のところ数年後に日本でも起きています。それは過去の歴史を見れば明白でしょう。実際、徐々に日本の投資環境もその方向に進んでいます。
本書を利用し、本当の意味での「ルールベースド・トレーディング」を学んでください。
目次
基礎編
- 本書で使用するチャートの種類
- トレードステーションとは
- イージーランゲージとは
- 売買戦略をプログラムしてみよう
- 条件の多い戦略もプログラム可能
- ファンクションを利用しよう
- 執行の種類
基礎編の理解度テスト
応用編
- 売買戦略の論理
- ファンクションの構築と改造
- イージーランゲージで分析指標をつくる
- イージーランゲージを使いこなす
応用編の理解度テスト
実践編
- フューチャーズトゥルース
- 40/20 チャネル・ブレイクアウト
- 移動平均線の交差と従来手法の見直し
- 短期ボラティリティに基づく
- ADXを併用したオシレーター法
- ストキャスティックの破裂
- DEMA:2つの指数移動平均
- 方向性指標
- HVをクレイベルの条件に適合
- 日経225先物の自動売買環境設定例
付録
A. Yahoo!ファイナンスなどから取得した長期(ヒストリカル)データをTradeStation2000iに取り込む方法
B. トレードステーション2000i用語集
著者紹介
西村貴郁(にしむら・たかいく)
投資顧問会社West Village Investment株式会社(投資顧問業者登録番号 関東財務局1435号)代表取締役社長。1975年新潟県長岡市生まれ。アーサーアンダーセン税務事務所、朝日KPMG税理士法人、KPMG税理士法人を経て、2005年6月30日に現社設立。システムトレードを得意とし、2006年4月に米国の証券会社Strikerに自社開発システムを登録、一任勘定による個人資産の運用を始める。同年8月には世界的な投資システム会社、米MESA SOFTWARE社と業務提携「R-MESA3 Nikkei」を共同開発。同年11月には正規代理店としてトレードステーション2000iの販売を開始する。
TradeStation2000i(トレードステーション2000i)正規代理店 www.wvi.jp/tradestation2000i/
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