【Introduction】
ヨーロッパのオフショアを体験しよう
ヨーロッパのタックスヘイヴン(オフショア)は、大きくイギリス系と大陸系に分けられます。
イギリス系のタックスヘイヴンは、ドーバー海峡のチャネル諸島(ジャージー島、ガーンジー島)やアイルランドに近いマン島で、大英帝国の領土であるにもかかわらず歴史的な経緯から通貨発行権を含む幅広い自治権が認められています。それを利用して、利子・配当益や株式・債券の譲渡益など金融所得を非課税にして、銀行やファンド会社、保険会社の誘致に成功しました。観光地としても知られていて、リタイア後に風光明媚な(おまけに税金もかからない)この地に暮らすイギリス人もたくさんいます。このイギリス系タックスヘイヴンに設立された銀行を一般に“オフショアバンク”と呼びます。
大陸系のタックスヘイヴンは、スイスやルクセンブルクなど欧州の小国に生まれました。これらの国々は文化的にはドイツ、フランス、イタリアなどときわめて近く、住民は複数の言葉を自在に操るのがふつうです。スイスがドイツ語圏とフランス語圏に分かれているのはよく知られていますが、同様にルクセンブルクやリヒテンシュタインは日常語がドイツ語、モナコはフランス語で、ヨーロッパの富裕層はこれらの国の金融機関をなんの不都合もなく使いこなすことができます。
スイスに代表される大陸系タックスヘイヴンは、金融規制により非居住者には普通預金口座や当座預金口座のみの開設を認めていません。私たちが利用できるのは投資口座と一体になった銀行口座で、これが“プライベートバンク”と呼ばれるわけです。
ヨーロッパを旅行すると、タックスヘイヴンが日常の一部になっている姿を目の当たりにすることができます。
チャネル諸島とロンドンは飛行機でわずか30分で、入国管理はないので、オフショアとオンショアの間で現金をやり取りするのは自由です。ヨーロッパは地続きなので、トランクに札束を詰めてオフショアの金融機関に運んでも誰にもわかりません。日本は世界第2位の経済大国ですが、周囲を海に囲まれ、自国の言語を話すオフショアを持ちません。経済ばかりではなく歴史や文化にまで組み込まれたヨーロッパのタックスヘイヴンは、私たちの想像を超えています。
本書は、日本人でも比較的簡単に口座開設できるオフショアバンクとプライベートバンクを紹介しています。香港やシンガポールと比べて敷居が高く感じられるヨーロッパのオフショアですが、その魅力や使い勝手を知るには、実際に口座を開いて利用してみるのがいちばんです。
もちろんヨーロッパを旅行する際にも、現地の金融機関に口座があればこれほど便利なことはありません。
海外投資を楽しむ会
(海外投資実践マニュアル8)
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