ドレスコード ファッションに隠されたメッセージ
リチャード・トンプソン・フォード
パンローリング
四六判 584頁 2022年3月発売
本体 3,200円 税込 3,520円
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貴族、公民権運動家、IT起業家、ラッパー、YouTuber…
私たちの思考と行動は「服装」で決まっていた。
14世紀の宮廷、フランス革命、公民権運動、ジェンダー、人種、宗教問題まで、
姿を変えながら人びとに影響を与えてきた「ドレスコード」とは何か?
法律家にして文化評論家、スタンフォード・ロースクール教授の意欲作
17世紀、ルイ14世は自分と廷臣以外の赤いソールの靴着用を禁止し、21世紀、クリスチャン・ルブタンは赤いソールの商標を独占した。彼らは赤い靴底ではなく「権力と特別感」を守ろうとしていた。なぜなら「服装」にはそれだけの効き目があると知っていたからだ。
宮廷と修道院、革命と公民権運動、娼婦と淑女、ギャングとセレブ。「階級・性差・貧富」を表し、固定するものとしてドレスコードは機能していた。そしてフランス革命後の「国家と個人の誕生」とともに、服装は自由と平等を実現し、一人ひとりの個性を表し、格差を破壊するものになる――はずだった。
それにもかかわらず、アメリカの高校は現在も服装規定を増やし、レストランは髪型を理由に従業員を解雇する。「流行なんてどうでもいい」とTシャツを好むIT起業家たちは、「ファッションに無関心という最新の流行」に夢中になっている。ドレスコードに隠されたメッセージは形を変え、今なお生きているのだ。
ジャンヌ・ダルクは異性装でパワーを手にするもタブーに倒され、おしゃれをした黒人は「身のほど知らず」だとリンチにあい、現代の女性はメイクをしてもしなくても批判される。イタリア人の無造作なネクタイは絶賛され、スコッチテープでネクタイを固定したトランプは馬鹿にされる。服装は女性の趣味ではない。人類がパワーゲームのために用いてきた暗号であり、今でも社会と個人に密接に関わる重要な要素だ。
私たちがドレスコードに縛られるのはなぜだろう? 服装が取り決め、ルールや法、裁判所命令の対象になるほど絶対的になるのはどんなときか? ドレスコードが、平等や個人の自由に関する社会規範の変化と衝突したら何が起きるのか? ドレスコードが役立つのはどんなときで、必要以上に抑圧的になったり、不当なものになったりするのはどんなときか?
歴史をひもとけば人は服につくられてきた。それなら服装は本当に個人が選択しているのか? 時代の流れに知らぬ間に同調し、周囲に好印象を与える――あるいは人の気を引くためにその服を着ているのだろうか?
本書は、歴史を通したファッションの法則を探り、服装――自己表現の最も私的かつ公的な媒体――が持つ個人的、社会的、政治的な意味を明らかにしていく。階級、性差を表す「暗号」だった歴史的なドレスコードを読み解くとともに、人種、ジェンダーの平等をめぐる戦いの中で、服装がどのような役割を果たしてきたのかを考察する。そしてこのテレワークの時代、消えない分断の世界で、「これからのドレスコード」を問う。
本書への賛辞
「おしゃれ好きもスウェット好きも必読の一冊。幅広く深い研究に基づいた本書は、退屈な「ファッションの歴史の授業」ではない。「なぜ私はこの服をこう着るのか」という理由を解き明かし、階級、セクシュアリティ、権力の成り立ちについて考察する、洞察と知識とエンターテインメントに満ちた研究だ」――ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー
「服装が個人や社会について何を示しているのかを探り、時代を超えてファッションを探求する、鋭くておもしろい『服装ルールの歴史』」――ウォール・ストリート・ジャーナル
「エンターテインメント! この本は、ファッションがどう社会を反映し、どう社会をつくってきたかを明かしている」――エコノミスト
著者紹介
リチャード・トンプソン・フォード (Richard Thompson Ford)
スタンフォード大学ロースクール教授。法律、社会問題、文化的テーマ、人種関連についての記事を、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、サンフランシスコ・クロニクル紙、CNN、スレート誌に寄稿してきた。ニューヨーク・タイムズの「今年の注目図書」に選ばれた『The Race Card(人種のカード)』『Rights Gone Wrong(堕落した権利)』の著者。テレビ番組コルベア・レポー、レイチェル・マドー・ショー、ディラン・ラティガンに出演。アメリカ法律協会会員。全米作家協会理事。本人も驚いたことに、2009年のエスクァイア誌ベスト・ドレスド・リアル・マン・コンテストの25名の準決勝進出者のひとりに選ばれた。妻マーリーンとふたりの子ども、コールとエラとともに、サンフランシスコに暮らす。
原題: Dress Codes: How the Laws of Fashion Made History by Richard Thompson Ford
目次
はじめに
第1部 ステータスシンボル
第1章 地位の記号化
第2章 自己成型
第3章 信仰の印
第4章 性的象徴
第2部 豪華から上品へ
第5章 男性による華麗な衣装の放棄
第6章 表現方法と地位
第7章 性別と簡素
第8章 合理服運動
第9章 フラッパーのフェミニズム
第3部 パワー・ファッション
第10章 流行の奴隷
第11章 ボロ服から抵抗へ
第12章 腰パンと服従
第4部 政治と個性
第13章 女らしい装い方
第14章 異性装と性の境界線
第15章 宗教とドレスコード
第5部 仕立て直された期待
第16章 ブランドとマーク
第17章 偽物と文化の盗用
終 章 ドレスコードを解読する
おわりに 裸にされたドレスコード
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