人口14億人、潤沢な外貨準備高、日本を抜いて米国に次ぐ世界第二位の経済大国となった中国。2025年には超大国として君臨するだろうとして注目を浴びている。
金融危機により欧米経済が大きく落ち込み、簡単に回復できないため、先進国の間でも中国経済への依存度と、中国経済に対する期待は、日々高まっている。しかし、そうした半面で、中国経済に本当に依存して大丈夫かとの疑問も残る。いまや中国が咳をすれば、世界経済が大きく震える段階にきているからだ。
絶好調のようにみえる中国経済を多面的に分析をして、そこに含まれるチャンスとリスクを明らかにし、問題を早急に解決できない場合の危険性、すなわちチャイナクライシスに対して警笛を鳴らすことを目的としている。
レアアースの輸出規制や人民元切り上げ問題で独善的姿勢を強める中国が、本当の民主主義として自由な経済システムに改革ができなければ・・・。中国が抱える問題は、多くの日本人にとって決して対岸の火事ではない。中国の市場に投資している投資家、あるいは中国市場に参入している日本の企業の関係者は、中国のリスクに備えなければならない。
大切なのは情報収集をして、それを解析することにより戦略を考えることだ。仮にXデーを迎えたとしても、パニックに陥る必要はなくなる。 その分析の仕方をお伝えする。
投資戦略フェア2011 を収録
■ 2011年の中国経済
- 短期的な課題と長期的なビジョン
- 経済成長安定化の課題
- 製造業からサービス業への構造転換
- インフレの再燃
- 金融政策の転向
- 信用創造の急増
- 商業銀行貸出の急増
- 外貨買付に伴う人民元の放出
- 建設業の伸び率
- 中央政府と地方政府の投資プロジェクト
- 経済バブル発生のメカニズム
- 主要都市における不動産バブルの拡大
- 不動産バブルを助長する土地価格の上昇
- 人民元の為替調整
- 変わらない外需依存の体質
- GDP伸び率と所得の伸び率の推移
- 「民工荒」と労働市場のミスマッチ
- 雇用吸収の受け皿はサービス業
- 短期的な課題への対処
- 長期的な課題への対処
- 中国企業の歩み
- 中国の企業モデル
- 最近の産業政策の動き
- 高付加価値産業の技術
- 最低賃金
- 競争力ランキング
- 「来料加工」モデルの終焉
- 市場環境の変化と日系企業の競争戦略
- 中国リスクの管理
講師: 柯 隆(か りゅう)Ke Long
富士通総研経済研究所主席研究員。経済学修士。1963年、中国南京市生まれ。1988年に来日、92年に愛知大学法経学部卒業、94年に名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。同年、長銀総合研究所に入所し国際調査部研究員を経て、98年より富士通総研経済研究所へ移籍。2008年より現職。開発金融、中国経済論を専門とする。著書に『中国の不良債権問題』、共著に『華人経済師のみた中国の実力』(いずれも日本経済新聞出版社)、「チャイナクライシスへの警鐘 2012年 中国経済は減速する」(日本実業出版社)など。
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