3%シグナル投資法 だれでもできる「安値で買って高値で売る」バリューアベレージ法
ジェイソン・ケリー,
長尾慎太郎,
山口雅裕
パンローリング
A5判 382頁 2016年3月発売
本体 1,800円 税込 1,980円
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ドルコスト法に勝つバリュー平均法
資産形成の新定番!
感情に左右されない安全で確実なつみたて投資
確定拠出年金など個人でできる年金運用
2007〜2009年の金融危機で、株式市場の危険性が白日の下にさらされた。何百万人もの投資家たちは大損害をもたらしたリスクを避けつつ立ち直ろうと、今も苦闘している。彼らはどのマーケットでも通用する、明確で良識的な投資手法を待ち望んでいる。ジェイソン・ケリーがその手法を伝授する。ケリーの投資プランは楽に資産を増やせる点が最大の特徴だ。分かりやすくて、401kを含むあらゆるタイプの口座で使える。戦略の見直しは3カ月(1四半期)につき15分あれば十分だ。
投資手法は単純であり、価格の変化に賢く対応して、機械的に安値で買って高値で売ることができる。そのため、感情に左右されて愚かな行為をしでかす心配もない。気楽に読める本書は投資業界に激変をもたらし、今後は3%シグナルが資産形成における定番となるだろう。
■著者紹介
ジェイソン・ケリー(Jason Kelly)
『大化け株とレバレッジで勝つケリー流株式投資法』(東洋経済新報社)の著者。彼は毎週日曜日の朝にケリー・レターをメール配信して、多くの読者からその週で最も良い読み物だと評価されている。世界中のどこででも暮らせるようになるという夢を実現して、2002年に日本に移住し、東京から2時間ほどの地方都市に仕事場を構えている。2011年3月に起きた東日本大震災の際には、「日本に靴下を」というボランティア組織を立ち上げて、世界中から送られてきた16万足の靴下を被災者に手渡した。寄付の70%以上はアメリカからだった。被災者に寄付をしてきた差出人を見ると、教会、ガールスカウト、喫茶店、田舎町の電力部門、ウィルソン先生の4年生のクラス一同と、アメリカ文化を支える人々だと分かり、彼は自国を誇らしく思った。彼は新著やケリー・レターの執筆に力を入れている。コロラド州ロングモントでは、姉であり共同経営者でもあるエミリーと、レッド・フロッグ・コーヒー店を共同所有している。ケリーのウェブサイトは、http://jasonkelly.com/ である。
■目次
監修者まえがき
謝辞
投資パフォーマンスの計算について
はじめに――投資でのとまどい
第1章 なぜマーケットでとまどうのか
予測が当てにならない環境
コイン投げによる予測
ベンチマークに勝てない根拠
ピーター・パーフェクトを呼び出す
私たちの考えと現実
この章の要点
第2章 相場の変動を利用する
3%シグナル
大きな値動きは好機
インデックスファンドへの切り替え
コイン投げのチャートラインを動かす
受動的なリバランス
この章の要点
第3章 投資パフォーマンスの目標を設定する
良いパフォーマンスとは?
変動する価格と目標との差を測る
この章の要点
第4章 何に投資すべきか
成長性なら小型株
安全資産には債券
パフォーマンスで有利なIJR
ヒーローの持ち株に勝つ
ドルコスト平均法に勝つ
30%下げたら、売りシグナルを無視
ほかのファンドを使った場合
この章の要点
第5章 このプランでの資金管理
現金残高が多いとき
一生、増減する債券ファンドの残高
「底値買い」用の口座を持つ
年を重ねるにつれて、債券残高を調整する
まとめると
この章の要点
第6章 プランの実際
四半期ごとの手続き
大切なのは経費をかけないこと
税金で考慮すべきこと
IRA(個人退職積立勘定)
典型的な証券取引口座
雇用主が提供する年金プラン
どこの職場でも役立つ3%シグナル
この章の要点
第7章 プランを実行する
セットアップ
1年目
2年目
3〜7年目
8〜9年目
10〜13年目
分析
この章の要点
第8章 幸せなシグナル
付録1――マークのプラン
付録2――ツール
付録3――権利と許可
付録4――ケリー・レター
■監修者まえがき
本書はジェイソン・ケリーの著した“The 3% Signal : The Investing Technique That Will Change Your Life”の邦訳である。ここで紹介されているのは、個別の有価証券(株式、債券)ではなく、投資信託を投資対象とした運用戦略で、自律的な成長が期待できる資産一般に幅広く応用が可能である。第3章にあるように、この戦略はもともとハーバード大学のマイケル・エデルソン教授が提案した「バリューアベレージ法」に基づいており、パフォーマンスターゲットを決めて定期的にアセットクラス別の資産配分を動かしていくものである。この方法は数学的には必ずしも最適解ではないが、単純で理解が容易であり、また意思決定の頻度が四半期に一度ときわめて実行しやすい。何より心理的にだれでも受け入れることができる満足解である。一般に意思決定の頻度が高ければ高いほど投資パフォーマンスは悪くなるので、投資判断が年に4回で済むというのは大きな長所である(個人的にはそれでも多すぎるくらいだと思う)。
ところで、本書でもっとも興味深いのは第1章で、「市場予測はだれにもできない」という著者の主張はまったくもって真実である。実際、運用者の立場から言っても、利益を上げることと市場予測の巧拙は何の関係もないし、自身の体験を通して早い段階で市場予測の無意味を悟ることが投資家としての第一歩である。私も「予測は愚か者のやることだ、絶対にするな」と若いころに先達からきつく戒められたことを思いだす。大切なのは、市場見通しなどというあやふやなものに頼らなくとも、合理的に投資成果が上がる仕組みを作り上げることである。暇つぶしの余興としてなら別だが、市場予測はまともな投資家には無縁のものだ。いずれにせよ、どのみち投資家はマーケットの変動をコントロールできない。投資家がコントロールできるのは投資プロセスだけである。したがって、情報や手段が限定された環境下では、整合性のあるプロセスを堅持できるかどうかが成否を分ける。それは見かけ上面白くもなくワクワクドキドキ感もないが、確実性が高く数字が計算できるアプローチなのだ。つまり、私たち投資家に必要なのは、机上の空論の素晴らしい投資戦略ではなく、本書に紹介されているような一貫して実行可能な限定最適の投資戦略である。
なお、本書は米国での運用を想定して書かれているが、日本から運用する場合にも考え方や銘柄がそのまま適用できる。ただ、投資対象の選択肢が限られる確定拠出年金(日本版401k)向けにアレンジするとすれば、はじめに、投資する債券ファンドとして、国内債券ファンドではなく信託報酬率の低いパッシブ運用のグローバル債券ファンドを選ぶこと、そして次に、株式ファンドとしてはパッシブ運用の国内株式ファンドとグローバル株式ファンドを適宜使い分けること、最後に、もし必要であれば為替ヘッジを自身のリスク嗜好に応じて適宜行うということである。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山口雅裕氏は正確な翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2016年2月長尾慎太郎
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