財産を失っても、自殺しないですむ方法 マーク・リッチーのトレーディングバイブル
マーク・リッチー,
長岡半太郎,
山口雅裕
パンローリング
四六判 318頁 2022年1月発売
本体 2,000円 税込 2,200円
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読者の声
<ミネルヴィニ絶賛>
プロのトレーダーのような負け方がわかる!
損失を「管理」することが成功への近道
このマーケットの魔術師はトレードについて、想像できないほど幅広いアドバイスをいろいろ行ってきた。彼はこうしたやり方を、負け方を学ぶという画期的な主張をしながら今も続けている。初心者のトレーダーはだれもがリスクをとってリターンを手にしたがるだけでなく、損を出さずにリターンを得たがる。本書は損をする方法を説いた本ではないにせよ、そんな目標なんてだれも達成できないということを初めて数学的に証明した本だ。リッチー自身が開発したリッチールール(Ritchie Rule)というアプリを使えば、自分の目でそれが確かめられる。
リッチーは読者に2つの選択肢を示している。プロのような負け方をしながらトレードを続けるか、初心者のような負け方をしてトレードをやめてしまうか、だ。また、裕福な人々とほかのすべての人々との格差を自分が広げているという罪悪感に悩まされているキリスト教徒のために各章の最後に1節を設けている。
また、リッチーは原書のタイトルを『財産を失っても、自殺しないですむ方法』にしたかった。しかし、出版社に断られた。日本語版ではあえて、リッチーの意思を尊重することにした。それは本書の細部にまで、トレードで成功を目指すトレーダーたちへの慈愛にあふれているからだ。そして、トレードでの失敗の多くは売買のタイミングや戦略・戦術にあるのではなく、資金管理にあることを悩めるトレーダーにはっきりと教えてくれている。偉大なマーケットの魔術師の箴言とアドバイスを読めば、タイトルに深い意味を込めたリッチーの真意が理解できるだろう。
■著者紹介
マーク・アンドリュー・リッチー(Mark Andrew Ritchie)
オレゴンの林業の町やテキサス州のディープサウス、それに最も重要なアフガニスタンで育った。アフガニスタンでは、カイトやガラスを塗ったカイト用糸や伝書バトを市場で取引した。彼はCRT(シカゴ・リサーチ・アンド・トレーディング)の創立者の1人で、ジャック・シュワッガーの『新マーケットの魔術師』(パンローリング)に登場し、リッチールールというトレード用アプリを考案した。彼は5人の子供を育てたあと、妻の夢のためにアジアの孤児たちと働き、「ベアフットバンカー」になった。彼はトレードグループであるRTM2の取締役会長を務め、現在はシカゴ近郊在住。
*リッチーのウェブサイト(https://markritchie.me/)にあなたの意見を書き込むと歓迎される。彼は自分とは反対の見方、つまり自分に対する批判を特に好んでいる。
本書への賛辞
「本書でマーク・リッチーは役に立つと同時に楽しくて面白いという、できないことを成し遂げている。とても示唆に富む本で、すべてのトレーダーが蔵書に加えるべきだ。すでに古典になっている」――マーク・ミネルヴィニ(『ミネルヴィニの成長株投資法』(パンローリング)の著者)
「本書はトレーダーとして成功するための彼の提案に焦点を当てている。成功は平均の法則、損益に応じてトレードを調整するための式、それに自分の限界をしっかりと理解できるかどうかにかかっている。彼の提案には、『退屈に耐えられなければ、カジノに行きなさい。そのほうがはるかに安くつく』という明快なアドバイスが添えられている。各章はキリスト教徒の読者を対象とした節で締めくくられている」――カーカス・レビュー
「20年前にこの本を持っていたらよかった。これは古典に値する。こういう目標を持った本はめったにない」――ティム・ジョスリン(オーストラリア人トレーダー)
「魅力的で説得力がある。本書の人生の教訓は的確だ」――ジェラルド・ミッチェル(神学者兼一般トレーダー)
目次
監修者まえがき
はじめに
第1章 財産を失っても、自殺しないですむ方法
四種類の読者
初めに詳しく(もう一冊、本を書いた理由)
どうして軽はずみにも本のタイトルに自殺という言葉を使おうとしたのか
えっ? トレードに秘訣はない? またか!
えっ? 仕掛けのシグナルはない? またか!
それなら、この本を書いた動機は?
悪魔は細部に宿る
天才的なIQは必要ない
トレードに必要なスキル
金融市場はプロに有利なように操作されている公認カジノ
ストーリーか論旨か
知ったかぶりをしている人が払う代償
どれくらいの自信ならば自信過剰なのか
無知の代償
FYX(クリスチャンのために)
第2章 競争の条件は公平になったか
FYX(クリスチャンのために)
第3章 大衆は常に間違っている
当然の帰結
FYX(クリスチャンのために)
第4章 聖杯
FYX(クリスチャンのために)
第5章 どれほど悲惨になり得るか
より実際に近い現実
評価
補足
FYX(クリスチャンのために)
第6章 エースのフォーカードを持つクリスチャン?
読者自身で検討するための二人の権威
FYX(クリスチャンのために)
第7章 あとは細かいこと
手仕舞いの逆指値
直感でトレードをしてはならない
トレードアイデアの見本(仕掛けと手仕舞い)
書評
映画批評
トレーダーたちの対照的な見方
お金は諸悪の根源
ウソつき、ウソつき、ズボンが燃えてる
第8章 実践的な補足 マーク・リッチー二世
FYX(クリスチャンのために)の節での私の試み
エピローグ――ようこそ、この世界へ
監修者まえがき
本書はジャック・シュワッガーのインタビュー集である『新マーケットの魔術師――米トップトレーダーたちが語る成功の秘密』(パンローリング)に取り上げられたマーケットウィザードのひとり、マーク・リッチーの著した“My Trading Bible”の邦訳である。これはほかの投資関連書籍とは著しく異なっており、その特徴の一つは「安易にトレードなどするな」という主張が一貫して繰り返されている点である。
投機の一種であるトレードは特殊な世界である。これが投資であれば、対象資産が安定したキャッシュフローを生むものでありさえすれば、たとえそれを割高で購入したとしても長い間にはその失敗は経済的に癒されることになる。しかし、トレードにはそうした長期保有による救済は一切ない。だから、トレードは現実世界の事実のみに基づいて冷厳に行わなければならない。そこには個人の主義主張や信条やエゴといったものを差し挟む余地はない。もしそれらを捨てられないならば、初めからトレードはすべきではないのである。
著者はそれらの障害について、キリスト教のドグマによる原理主義的な考えや行動を例にとって警告を発しているが、客観的な科学を軽視し個人の経験による素朴概念やどこかの権威に弱い私たち日本人は、その忠告をより真摯に受け止めなければならないだろう。
一方で、リッチーが当初意図した原書のタイトルが「財産を失っても自殺しないですむ方法」であるように、彼は戒めだけではなく「聖杯」の章に強い希望も記している。一般にトレードでの失敗のほとんどは、売り買いの巧拙ではなくマネーマネジメントに原因がある。したがって、私たちはそれに留意するだけで限りなく成功に近づくことができる。この世界では「一〇〇%のトレーダーが儲けている」とリッチーが断言するのもまた真実なのである。(続きを読む)
はじめに
一言、説明させてもらいたい。この本はもともと、「ハウ・トゥ・ルーズ・ア・フォーチュン・アンド・アボイド・スアサイド(財産を失っても、自殺しないですむ方法)」というタイトルにしていた。そのせいで、タイトルを決める権利は自分たちにある、と出版社が主張してきた。また、内容の一部について方針が変わったのも同じ理由だ。そんなタイトルは耐えがたいという読者も多いと思うが、それを褒める読者もいる。自殺を試みて死にかけた経験のある人は、「そろそろ、だれかが勇気を出してこの言葉をタイトルに使うときだ」と言った。それでも、さんざんバカにされた揚げ句、このタイトルは退けられた。ところが、これが最初の章の見出しで使われていた。ああ、出版社には章の見出しも自由に変える権利があるのだ。売るためには、何らかの制約は避けられない。それが現実だ。しかし、投資の世界が厳しいものであることもまた現実だ。タイトルが何であれ、私がテーマを無視することはない。
この本を書くために、私はギャンブルをしていた時期を除いて、四〇年近くを振り返る必要があった。偶然にも、そして驚いたことに、私はトレードで勝つ人の分かりづらい特徴を見つけた可能性がある。今は聞かないでもらいたい。しかし、あなたの好奇心をほんの少し満たして、勝つトレーダーの視点で考え始めてもらうために、トレードで負ける人の特徴が何かを先に言っておこう。それはトレードで勝つ人の特徴を今すぐに知って、残りの九つの章を読む手間を省きたいという衝動に駆られるタイプだ。申し訳ない。だが、包み隠さず正直に言ってしまうのは、トレードで勝つために欠かせない特徴の一つなのだ。(続きを読む)
(ウィザードブック324)
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