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エドワード・チャンセラー/長尾慎太郎/山下恵美子 新訳 バブルの歴史 最後に来た者は悪魔の餌食

新訳 バブルの歴史 最後に来た者は悪魔の餌食

Veteran's choice: ★★☆
エドワード・チャンセラー, 長尾慎太郎, 山下恵美子
パンローリング
四六 560 pages, released in Jun. 2018
4,180 yen (including tax 380 yen) , Free shipping fee to Japan.
This product will be shipped on Nov. 5.

  


読者の声
「太古の昔から現在に至るまでの投機の狂気について見事に調べ上げよく書かれた本である。今、株式市場に関与している人はもちろんのこと、これから乗り出そうと考えている人にとっても絶対に読むべきものだ」――ジョン・ケネス・ガルブレイス

狂気の投機史
人はなぜお金が絡むと愚行に走るのか?
「バブル」という人間の強欲と愚行と狂気を描いた古典!

本書は17世紀から現在に至るまでの株式市場における投機の歴史を生き生きと描き出したほかに類を見ない魅力的な書である。投機の精神の起源を古代ローマにまでさかのぼり、それが近代世界によみがえった様子を年代順に、分かりやすくまとめている。近代でのバブルの始まりとは、1630年代にオランダで起こったチューリップバブルだった。

その後、ロンドンのチェンジアリーの株式売買(ワインが1インチのロウソクの火が消える直前に値を付けた者が落札者になるという方式のオークションで売られた)、1720年の悪名高きサウスシーバブル(南海泡沫)と続く。サウスシーバブルではアイザック・ニュートンは「天体の動きなら計算できるが、人々の狂気までは計算できなかった」という有名な名言を残している。当時、法外な金額をふっかけたり、女性の貞操を守る保険と題してリスクを引き受けるブローカーがいた。また、お金として流通するクレジットノートや宝くじがあった。アレクサンダー・ポープやベンジャミン・ディズレーリ、アイバン・ボウスキー、ヒラリー・ローダム・クリントンなど、バブルで一獲千金を狙った賢明な投資家や愚かな投資家がいた。

金メッキ時代から狂騒の1920年代、19世紀の鉄道狂時代から1929年のウォール街大暴落、ジャンクボンド王のマイケル・ミルケンに代表されるカウボーイキャピタリズムや、日本のバブルであるカミカゼ資本主義、現代の情報時代に生まれたデイトレーダーまで、いつの時代にも存在した、またこれからも存在するであろう人間の飽くなき強欲と愚行と狂気の結末を描いた興味深い1冊!

*本書は2000年4月、日経BP社から『バブルの歴史』として刊行されたものを新たに翻訳したものです。

著者紹介

エドワード・チャンセラー(Edward Chancellor)
ケンブリッジ大学とオックスフォード大学で歴史を学び、1990年代初期、投資銀行のラザード・ブラザーズに勤務。フリーライターとして、フィナンシャル・タイムズやエコノミストを中心に執筆。本書はチャンセラーの初めての著書で、マネー誌では1999年のビジネス書トップ5入りを果たし、トーク誌でも同じく1999年のベスト10ブック入りを果たした。

目次

監修者まえがき

序文――最後にやって来た者が悪魔の餌食になる
「投機」の意味するもの

第1章 「バブルの世界」――金融投機の起源
近世の金融投機
ベガの『混乱』
チューリップバブル
崩壊するバブル――投機の寓話と伝説
愚か者の浮かれ騒ぎ?
投機のカーニバル

第2章 チェンジアリーの株式売買と一六九〇年代のプロジェクトの時代
信用は金(かね)なり
初期の株式市場――隆盛と衰退
初期の資本市場におけるギャンブル
髪飾りとスカートの丈
スキャンダルと腐敗
老婦人、第一歩を踏み出す
投機パラダイム

第3章 忘れ得ぬ許しがたい南海計画
最初のバブル
南海計画
南海会社の秘史と通俗史
最後にやって来た者が悪魔の餌食になる
暴走
南海株の投機家
女性投機家
ひっくり返った世の中
不愉快な目覚め
合理的なバブル

第4章 黄金の見かけにだまされた一八二〇年代の新興市場ブーム
投機と国債
南米の鉱山ブーム
国内のベンチャー企業
国会と熱狂
とどまるところを知らない不信感
南米の憂鬱
景気循環と投機サイクル

第5章 迅速な交通手段――一八四五年の鉄道ブーム時代
運河バブルの時代
鉄道王
一八四四年の鉄道規制法
バブルの始まり
鉄道の新規公開株の争奪戦
暴走機関車
鉄道王の失脚
鉄道の前途

第6章 金メッキ時代――だまされ、魔法にかけられ、悪魔にとりつかれた時代
アメリカにおける投機の初期の歴史
戦争と投機
新しい取引所とオールドバブル
株価操作で甘い汁を吸う
ジェイ・グールドの暗黒の金曜日
ジェイ・クックの暗黒の木曜日
横領、投機、株価操作

第7章 新時代の終焉――一九二九年の世界恐慌とその余波
将来を抵当に入れる
株の売り
投機プール
株の誇大広告
銘柄選択
資金借り入れの魅力
群衆の狂気
悪の根源
大恐慌に発展
追記――ニューパラダイムとウォール街での一九二〇年代の復活

第8章 カウボーイキャピタリズム――ブレトンウッズからマイケル・ミルケンまで
金融革命
経済的自由主義の復活
デリバティブ革命
レーガン革命
トレーダーの台頭
マイケル・ミルケンの登場
「金融界のヒトラー」、ウォール街に現る
一〇月の大暴落
賄賂まみれの政治と貯蓄貸付組合の危機
一九八〇年代の終焉

第9章 カミカゼ資本主義――一九八〇年代の日本のバブル経済
平和を勝ち取る
財テク――会社による余剰資金の投機
土地本位制
プラザ合意
金権政治
日本の株式市場の価値
日本市場の株価操作
投機家ネットワーク
バブルレディー
新・金メッキ時代
こっけいなモネ――アート市場のバブル
ゴルフクラブ会員権ブーム
バブルの終焉
日本の銀行システムの崩壊
日本システムの危機

エピローグ ならず者の経済学者
トレンドフォロー投機
危険なデリバティブ
ヘッジファンドブーム
「ウエークアップコール」――警鐘
三次元の領域

謝辞

原注
参考文献


監修者まえがき

本書はエドワード・チャンセラーの著した“Devil Take the Hindmost : A History of Financial Speculation”の邦訳である。原書は1999年6月の発行で、日本でも2000年に日経BP社から『バブルの歴史』という邦題で出版されたことがある。本書は、邦訳が長らく絶版になっていたことを受けて新訳で刊行されることになったものである。ここで著者は古今東西のバブルにおける投機の歴史について代表的な事例を挙げることでその共通性ならびに、狂気および荒唐無稽さを明らかにしている。これが書かれたのは米国におけるITバブルの真最中で、バブルの発生や投機そのものに対するチャンセラーの眼は一貫して否定的であるが、その後に文字どおりITバブルはじけるわけだから、彼の警告は正しかったことになる。

ところで、第9章にもあるように、日本でも1980年代にバブルが発生し、その崩壊と混乱は私たちの社会に少なからぬ爪痕を残した。そのなかで最も深刻なものの一つは、経営行動や投資行動でのリスクテイクに対する寛容性が失われてしまったことである。(続きを読む)


■序文――最後にやって来た者が悪魔の餌食になる

「若いころ、私はギャンブラーと呼ばれた。投資資金が多くなると、投機家と呼ばれるようになった。今、私は銀行家と呼ばれている。しかし、私がやってきたことはいつの時代も変わらない」――アーネスト・カッセル卿(エドワード七世の銀行家)

今日ほど投機というものが注目を浴びている時代はない。通貨危機、株式市場のバブルと崩壊、デリバティブの失墜、技術革新といった現在の金融・経済ニュースの裏には、必ず投機家の姿が見え隠れする。米国では毎日、何百万という個人投資家が株式の取引を行っている。一九九〇年代のアメリカ経済の成功は、株式市場に流れ込んだ投機マネーが生んだものだった。当時、米国では新興企業が台頭し、旧来の企業は統合され、会社は投資を促され、投資家は株式市場で得た利益を水のように浪費した。繁栄という名の大きな泡が私たちの眼前ではじけた今、私たちが不安に思うのは、繁栄は復活するのか、である。(続きを読む)

ウィザードブックシリーズ264)

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