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コラム 『目標株価あれこれ――7の法則』

執筆: 廣重勝彦氏


目標株価の決め方についてはさまざまな方法があります。
最もシンプルなのは、過去にあった値幅を適用するというものです。

たとえば、前回の上昇が800円を底値にして1000円まで上がったというものなら、その値幅の200円を使います。その後900円まで下落したのちに反発した場合は、900円に200円を加えた1100円が目標になります。実は、一目均衡表では、これは「N計算値」と名づけられています。要するに、過去に1度あったこと (上昇) は、再び相場に現れるというシンプルな経験則に基づいています。

次によく使われるのが「倍返し」です。
これも一目均衡表では「V計算値」といわれています。

1000円の銘柄が800円まで下落し、ここで反転すると1200円が次の株価目標になります。200円(=1000円−800円)の2倍、すなわち400円だけ底値の800円から上昇するというものです。右に振れた振り子は、真ん中を通過して左に同じ幅だけ振れるというのが自然な動き。これを相場に応用すれば、株価が下に振れて元に戻ればそこでは止まらず、今度は同じだけ上に振れるということになります。

さて、エリオット波動原理の考え方からは、フィボナッチ数列という特殊な数字の集まりを使う、やや難解な目標株価の決め方もあります。

ここでは、黄金分割比といわれる1.618という数字が基本となります。株価が800円で底値を入れて1000円まで上昇。その後900円まで押して反発に転じると、次の目標値は1223円になります。これは、最初の上昇波動が200円(=1000円−800円)でしたから、これに1.618をかけて、さらに次の底値の900円に加えます。すなわち、200円×1.618+900=1223円です。

<7の法則>

ここでもう少しマニアックな目標株価の算定方法をご紹介しましょう。

アーサー・スクラルーという人が、半世紀も前にその著書で説明している7の法則です。

7という数字を5〜2までのそれぞれで割った数字を、最初に形成された上昇トレンドの値幅にかけます。すなわち7÷5=1.4、7÷4=1.75、7÷3=2.33、そして7÷2=3.5が乗数です。このうち、上昇相場では、後者の3つを使います。

先ほどの例だと、最初の上昇幅は200円でしたから、200×1.75=350円、200×2.33=466円、200円×3.5=700円。これを底値の800円に加えると、1150円、1266円、そして1500円の3つの目標が得られます。

1つ例を挙げましょう。6758のソニーです。

昨年の安値4340円(10月5日)を底値に、まず4970円(10月27日)まで上昇しました。

この値幅は630円。7の法則を使い、この値幅に1.75、2.33、3.5をそれぞれかけて、底値の4340円(10月5日)を加えると、目標株価としては、(1) 5442円、(2) 5807円、(3) 6545円が得られます。実際の相場では、5830円(1月26日)、そして6540円(2月27日)が明確なピークとなりました。これらは7の法則の(2)、(3)の目標値にきわめて近いものでした。

<6758 ソニー>

週足でみた長期的な目標値を7の法則で探ってみます。

底値は2720円(03年4月28日)であり、最初のピークは4710円(04年4月26日)だから、上昇幅は1990円。これに先述の乗数をかけて、底値の2720円に加えると、(1) 6200円、(2) 7350円、(3) 9680円が得られます。

ちなみに、2006年の高値は6200円であり (1) に一致。そして、年初来高値は7190円(5月25日)と目標(2) に近づいています。仮にこれを超えると、(3) の9680円が次の上値の目標値となります。

著者
廣重勝彦 先生
Katsuhiko Hiroshige

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デイトレード入門 短期売買の極意


日本市場での株価指数先物取引開始に際し同商品のトレーディング(自己売買)体制を構築。バブル醸成から崩壊に至る期間も一貫した高パフォーマンスをあげ続ける。1995年に米穀物商社カーギル、さらに1998年からは第一勧業証券で銀行系証券のエクイティ部次長。同社合併後、みずほ証券エクイティ部部長。2001年7月(株)トレーダーズ・アンド・カンパニーに参画。現在、同社調査部担当役員として、内外の株式マーケット情報を分析し、証券会社、機関投資家、および個人投資家に専用端末やインターネットで配信している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会正会員。

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