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『市場の声』小塩隆士中央公論新社 新書判 198頁 1999年1月発売 660円+税 |
Q1 オススメ書を教えて下さい。 |
我々は毎日、「市場はすでに織り込み済み」とか「市場の反応が注目される」など の表現をよく目にし、ほとんど無意識に使っている。しかし、この”市場”とはそも そも一体何者なのだろうか?「市場が信認する」とか、「市場が拒否する」とは一体 どういうことなのか?言うまでもなく”市場”とは、「財・サービスの交換が一定の価格を通じて行われ る場」のことだが、経済社会学者の富永健一はこれを、「経済的交換のネットワー ク」とした上で、社会としての要件をほぼ満たしつつ、家族や企業ほどには組織化さ れていない”準社会”であると規定している(『社会学講義』中公新書)。では、そ の準社会が発している「声」とは一体誰の言葉のことなのか? 本書は、”市場”が発するとされている「声」をある種のフィクションとして捉え 直し、この形成者として「政府」「メディア」「市場参加者」を次々と俎上に上げて いく。その過程で著者は、日本の株式市場のみならず経済システム全体が抱える問題 をあぶり出し、最終的には政府と市場の関係にふれ、そのあるべき姿にまで言及して いく。 日常的に市場と接触していればいるほど、「市場の声」とされているものを「ア・ プリオリな存在」として受け入れがちだ。しかし、時の内閣が世論調査による 支持率と同等かそれ以上に、平均株価という形での「市場の信認」に気をもむ現在、 肝心の「声」がどのように形成されているのかというメカニズムを理解することは、 株式市場の見方を根本から考え直す良い機会となるのではないだろうか。 |
Q2 5点満点で採点すると? |
読みやすい ★★★★★ 知識がつく ★★★★ おもしろい ★★★★ 儲かる ★★ 専門的 ★★★ エコノミストの言葉を疑うようになる度 ★★★★ 総合オススメ度 ★★★★★ |
杉本裕之(すぎもと・ひろゆき)さん 翻訳家早稲田大学文学部卒業。防衛庁翻訳・通訳官、米軍横田基地連絡官などを経て、その後は商品先物情報会社に勤務。1995−97年ニューヨークでの取材活動・翻訳業務に携わる。訳書に『アームズ投資法』、『ロスフックトレーディング』(ともにパンローリング刊)など。 |
ありがとうございました。 |
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