1973年、オプション市場が開設された当時、どのように取引すればよいかを知っている人は誰もいなかった。

そこで、市場の招集に応じたのが、ブリッジやバックギャモンの世界大会で優勝経験もある名門一族の御曹司だった。彼らは、ほかの人がコンピュータを使わなければ計算できない確率を頭の中ではじき出すことができ、とるべきリスクや、ほかのプレーヤーを品定めする経験を何年も積んでいた。

彼らが、ブリッジやポーカー、バックギャモン、チェス、碁の名人を集めてオプション取引を教えたことで、 ピーク時には、アメリカン証券取引所のオプション取引会員の多くを、訓練されたゲームプレーヤーで占められていた。また残る会員にビジネススクールや数学科出身者はごくわずかしかいなかった。

1990年代の初めまで、米国の株式オプション取引所を動かしていたのは、ゲームで鍛えられた頭脳集団だったのだ。