ジョン・テンプルトン Sir. John Templeton グローバル投資を創始し、「20世紀最高のストックピッカー(銘柄選択者)」と称えられた伝説的ファンドマネジャー。「他人が絶望して売っているときに買い、他人が貪欲に買っているときに売る」という徹底した逆張りで、50年にわたって市場平均をアウトパフォームした投資法は『テンプルトン卿の流儀』にまとめられている。
市場が時折犯す愚行や単純な考え違いにうまく乗じるジョン叔父さんの能力は少年時代から磨き上げられたもので、大学時代には特にポーカーテーブルで発揮された。 若いころはポーカーに熟練し、少なくともウィンチェスターやのちのエール大学やオックスフォード大学時代の若者のなかでずばぬけた腕前だった。 ポーカーでは、プレーされたカードを覚え、確率を計算し、相手の能力と戦略を見極める能力のおかげで大金を手にした。叔父さんの推定では、学費の25%もの部分をポーカーで賄った。(残りはアルバイトと奨学金で得た資金だった) ポーカーの話は投資との関係でも特別な意味がある。 ジョン叔父さんがポーカーの名手だった事実が興味深いのは、ポーカーでは確率やリスクテイキング、そしてたぶん一番重要なこととして心理に対する鋭い感覚が求められるという点だ。 ポーカーの成功に必要な能力の多くは投資の成功にとっても欠かせない。 例えば、自分が目にする行動の背後にある動機や意図を理解する力が必要になる。 いつも同じ仲間とポーカーをやり、そのひとりが一定の状況ではったりをかます癖があったとする。そのはったりを見抜けるようになっていれば、相手が自信たっぷりにレイズするのを待ち、たいていは掛け金を全部さらう一番のチャンスにコールできる。確かに株式市場では相手の手を正確に読むのは不可能だ。 だがある銘柄が将来の収益やキャッシュフローなどの尺度に照らして法外に高い価格で売買されていたとすれば、ポーカーの仲間と同じで、市場がその銘柄に対してやや入れ込みすぎていると判断できる。 (『テンプルトン卿の流儀』30ページより) |