この本は、「なぜ株価が値上がるのか?」という観点にたって相場について、解説されている。
また、この疑問には、百戦錬磨のプロのディーラーも、高名なエコノミストも満足に説明出来る人は、ほとんどいないともしている。著者自身もさまざまな国籍の諸先輩方に尋ねたとのこと、しかし、ついぞ満足な回答には、行き当らなかった。とはいえ、ディーリングという自分の売買のなかから「価格変動の本質」を見つけ出しその解説がされているので、一度読んで見られることをお勧めする。
それ以外に、「損切り」ということの重大性について書かれており、「損は出る物」「評価損は、実損より性質が悪い」ことについて分かりやすく解説されている。この部分は、「当たり前」のことと、いう人は多いが、それが分かってなくて、評価損を膨らませる人がいかに多いかを振り返ってみるのもよいと思います。
(ペンネーム H.K 50代、自営業)
名著「生き残りのディーリング」の著者 矢口新氏が、値上が
る株に投資しろ!」を増補改訂したのが本書です。1、2章は
、トレーニー(研修生)が先輩ディーラーに質問する物語形式
で、株価を動かす要因を説明しています。物語形式ですので、
読みやすいと思います。
株価を動かす要因には、構造的要因と投機的要因があると述べ
ています。たとえば、日米ハイテク企業の業績鈍化観測は、構
造的要因で、200日移動平均線を下回ったというのは、投機
的要因だというふうにです。そして、相場を上げる条件とは、
売り手よりも買い手が長く保有することだと述べています。一
瞬、本当かな?と思いますが、確かに90年代などによく行われ
ていた、いわゆるPKO買いも、長期的に株を保有するという
点において、一時的にせよ、売り圧力を吸収できるといえるで
しょう。
また、テクニカル分析は、その人の解釈次第で、違った解釈が
できるということを述べています。例えば、株価が今までの高
値を突破したというのは、株価の動きを忠実に、中立的に表し
ているのにすぎません。ある人は、これからさらに株価が伸び
ると思って、買いを入れるでしょうし、またある人は、株価が
高値を更新したのは、だましだといって空売りをいれるでしょ
う。その後どうなるかは、その時点ではわかりません。あとに
なって始めてわかるのです。
バルブが崩壊する構造についても述べています。株価が高くな
ると新規参入者が入りにくくなります。なぜなら、株価が高い
ということは、それだけ高い値段で買わないといけないからで
す。そこには、信用買いの金利負担も重くのしかかります。ま
た、ポートフォリオの調整での売りもでてきます。このように
永遠に上がり続ける株はないということです。これもみな頭で
はわかっているのですが、実践の場でいかにこのこと踏まえて
投資ができるかが大事になってくるでしょう。
また、高勝率は破滅パターンのひとつ?という考えを述べてい
ます。評価損は損をみなさないで、ナンピンや我慢をして、実
現した利益だけを勝利に数えたり、利食いが早すぎたりするパ
ターンは、破滅へ向かうことだと述べています。ここのところ
は考え方がいろいろあるかもしれませんが、参考になる考えと
いってもいいでしょう。
さらに、投資と投機の違いについて述べています。投資とは、
投下資本の運用、投機とは、機に投じるものと定義しています
。この投資と投機の区別については、何度も述べていますので
、本を参照されることをおすすめします。
全体的に、参考になる考え方が多かったです。初級者から上級
者まで、すべての人におすすめできると思います。
(bblue、30代、会社員)