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第14回 高値から30%の暴落!!商船三井・日本郵船の今後は2021.10.11 <著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ) 約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。
まずは前回の当ブログのアップ日(2021年9月21日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」下記2つの図、上は株価が9月17日時点、下はその2週間後、株価が10月8日時点のデータです。 当ブログで一貫して取り上げている商船三井・日本郵船の株価(以下、両銘柄の株価と記す)は、9月27日にかけ上昇するもここで一旦天井を打ち、その後わずか7日間で約30%前後の暴落、10月5日に長い下ひげで目先の安値をつけ、その後一進一退の動きとなっています。今回は両銘柄の投資について考えていきます。結論から言うと、「商船三井・日本郵船とも、難しい銘柄になってしまったな」というのが素直な印象です。これは後段で、詳しく触れます。
なお当ブログで披露している投資環境見通し、相場観については、方向性としては変化ありません。これは既報の通りですが、岸田総理の発言は日本株にとってネガティブ、一方で解散総選挙は概して株価にポジティブであることを考えれば、政治要因はほぼ中立と考えます。景気敏感バリュー株は足元で乱高下しているが、徐々に上昇に転じる銘柄が多くなろうと考えます。ここに掲載している銘柄群については基本、継続保有で問題なしです。海運株は別途、考えていきます。 もう一つの投資戦略、「商船三井ロング・日本郵船ショート」について説明します。 上のグラフは9月17日時点、下はその2週間後、株価が10月8日時点のデータです。 10月8日時点で商船三井の株価は6,690円、一方で日本郵船は7,440円と、株価の単純比較では750円ほど郵船が高い状況です。前回と比較して両銘柄のさやは100円縮小するも、両銘柄の株価が大きく下落する中、先週金曜日大引けという断面の株価で比較しても、さやに傾向的なものが見て取れる状況にないと考えます。 私は現在も引き続き、「商船三井ロング・日本郵船ショート」ポジションは持っていません。今後、どうするのか。これもここ何回か、ブログでも書いているのと同じですが。 さやの方向次第では、この「商船三井ロング・日本郵船ショート」ポジションを再度仕掛けたいと思っています。しかし足元では、両銘柄とも激しい値動きが続いており、安心してさや取りを仕掛けられる状況ではなく、かつ現状では両銘柄のさやの方向性が見いだせないため、この戦略は様子見としています。 なおグラフは過去3カ月の商船三井と日本郵船の株価を示したものです。グラフは日経SmartChartPLUSを用いて、概ね、重なるように作っています。 (日経SmartChartPLUS)
冒頭で、「商船三井・日本郵船とも難しい銘柄になってしまったな」と書きました。なぜそう考えるのか。 ここに示しているのは、両銘柄の過去6か月のチャートです。両銘柄とも、ファンダメンタルズに大きな変化はない。にもかかわらず9月27日を天井に、株価は暴落したわけです。この点については、私が日々更新しているブログでも、コメントしています。例えば、10月3日には: 【下げ止まりか?】テクニカルの面から見た日本郵船、商船三井の株価 を書き、かねてから海運株のスピード調整を唱えていたSMBC日興証券のテクニカルアナリストの大御所・吉野さんの8月17日付けレポートをもとに、日本郵船・商船三井の株価分析をしています。吉野さんの見解を要約すると以下の通り。今回の両銘柄の下落値幅を概ね当てており、さすがだなと思わさせられました。
さて、以上の見方に加えて、チャート用いた売買方法として、古くから、「3割高下に向かえ」と言われるものがあります。どういう意味か。 「個別株式の株価変動において『3割』は、上げにしても下げにしても一つの転機になる。したがって、ある出発点から3割上がったところは売り、3割下がったところは買いのサインと見るという考え方です」この考え方は意外にハマりがいいなと私は個人的に考えるのですが、これを両銘柄に当てはめるとどうか。 商船三井の高値は10,060円、安値は6,360円ですから36%の下落。日本郵船の高値は11,300円、安値は7,000円ですから38%の下落。「3割高下に向かえ」の点からも、両銘柄の10月5日の安値は、「コツンと来た」と言えなくもないのです。 加えて3度目の業績上方修正が程なくありそうなこと、今上半期決算発表が10月末近くにかけてあり、おそらくはポジティブな内容になりそうであることを念頭におけば、ここもとの「3割下落に向かう」のは、有効な投資戦略なのかもしれません。これをメインシナリオとします。 しかし、気になる部分もある。9月26日(天井をつける1日前ですね)に この中では、ここのところ当ブログでも紹介している Twitter(復活のR@株式投資さん)がこしらえてくれたグラフに一部、私が赤線を加えたもので説明をしています。これですね。
この9月26日の「テンバガー・ブログ」は、今後の日本郵船の株価上昇を期待し書いたものですが、実際にはその後、株価は大きく下落している。そうなると、「テンバガー達成」が逆の意味を持つことにもなる。テンバガー達成後下落=大天井形成ではないのか?との考えも成立するわけです。こちらをサブシナリオとします。このシナリオでは、両銘柄には手出し無用です。 長くなりました。そろそろ総括を。
以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。 なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは強調させていただきます。 キーワード検索: #高配当 #景気サイクル #株式サヤ取り |
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