携帯版 | ||
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2024/12/17 14:07, 提供元: フィスコ SIGG Research Memo(7):ITトータルソリューションカンパニーを目指す*14:07JST SIGG Research Memo(7):ITトータルソリューションカンパニーを目指す■SIGグループ<4386>の成長戦略 1. ビジネス変革(DX)を支援するITトータルソリューションカンパニーを目指す 同社は長期ビジョンの「ありたい姿」として、企業のビジネス変革(DX)を支援し、企業の外部CIOとして成長に貢献するITトータルソリューションカンパニーを掲げている。売上拡大に向けてM&A戦略を積極推進し、実績のある既存事業の得意領域(公共分野、製造分野、社会インフラ分野など)と、新規事業の注力分野(スマートデバイス、クラウド、セキュリティなど)を融合させ、DXソリューションを提案できる体制の構築を推進する方針だ。注力分野のクラウド・セキュリティ領域では、特に需要拡大が予想される中小企業向けに説得力のあるサービス設計を構築し、特徴のあるセキュリティソリューションの提供を目指す。 成長戦略第2フェーズは営業利益重視に変更してグループシナジー向上を図る 2. 長期ビジョン第2フェーズ 同社は長期ビジョン達成に向けたロードマップとして、2024年3月期までを「独自のグループ体制」を構築する第1フェーズ、2027年3月期までを「グループシナジーを強化して企業価値の最大化」を図る第2フェーズ、2030年3月期までを「企業の外部CIOとしての機能進化」を目指す第3フェーズと位置付けている。 第1フェーズ(目標値は最終年度2024年3月期売上高6,000百万円、営業利益600百万円、営業利益率10.0%)については、売上面は企業のDX需要が拡大したことに加え、既存事業の成長とM&Aの効果で2024年3月期の売上高が6,906百万円となり目標を達成した。CSソリューションセンター機能や地方拠点との連携を強化し、要員体制強化も一定程度進展した。ただし利益面については、2024年3月期の営業利益が355百万円、営業利益率が5.1%に留まり、いずれも目標未達となった。この点について同社では、新型コロナウイルス感染症拡大への対応やM&Aに伴って販管費が増加したことに加え、生産性の向上、受注単価の改善、サービスの高付加価値化、グループ企業の課題分析、グループシナジー創出などへの取り組みが遅れ、課題として残ったと分析している。 こうした第1フェーズにおける課題を踏まえて、第2フェーズと第3フェーズについては売上高目標値を下方修正し、営業利益重視の方針に変更した。ただし2030年3月期までの長期ビジョンの基本方針に変更はない。新事業領域・新技術の取り込みを実現するM&Aも引き続き積極推進するものの、従来計画に比べて売上規模拡大ペースを落とし、グループシナジー向上やサステナビリティ経営実践により企業価値最大化を目指す。第2フェーズの新たな目標値としては最終年度2027年3月期の売上高12,000百万円(既存子会社で9,000百万円、新規M&Aで3,000百万円)、営業利益720百万円、営業利益率6.0%、株主資本配当率(DOE)6.0%を、第3フェーズの新たな目標値としては最終年度2030年3月期の売上高20,000百万円(既存子会社で12,000百万円、新規M&Aで8,000百万円)、営業利益1,400百万円を掲げた。 長期ビジョンで目指す「ありたい姿」に変更はなく、新事業領域・新技術の取り込みを可能とするM&Aも引き続き積極推進するものの、第2フェーズでは「規模から質のグループ企業体制の構築」を目指し、グループ各社の最適化とともに組織の課題を成長軸に移す。また、企業のDX課題を多角的に支援するソリューションの提供やグループシナジーの効果によって収益性確保を推進するとともに、グループでしか提供できないソリューションの提供によって企業価値向上を目指す。なお、第3フェーズでは「企業の外部CIOとしての機能進化」を目指し、外部CIOとしての多様な業態への対応や拠点展開に取り組む。 クラウド・セキュリティ領域の強化としては、各事業所から次世代事業を検討できる人材を結集したCSソリューションセンターにおいて、ノウハウ・知見共有による組織の強化を図るとともに、次世代の独自ソリューション開発を検討するプロジェクトを立ち上げた。独自のクラウド・セキュリティサービスをドアノックツールとして開発し、グループ全体で新規顧客の開拓や既存顧客の深掘りを推進する方針だ。 地方拠点発のDX課題解決ソリューションとして、SIGの福井事業所が地元商業施設(東証プライム市場上場のホームセンター運営企業)向けに営業支援システムを開発・提供している。ネット注文・決済や売上・在庫管理など地方小売業が必要とする機能に絞り込み、顧客の販売・管理負担を軽減した。このシステムを基盤として各地方の商業施設のニーズに合わせた横展開を推進する方針で、2023年5月には注文受付から在庫まで一括管理する小売業向けシステム「ピッスル」をリリースした。同年5月には、SIGの福井事業所が開発した飲食店向けモバイルオーダーシステム「タノモバ」をリリースした。レストラン・カフェなどの飲食店だけでなく、イベント・催事・コンサート・スポーツ観戦など幅広いシーンでの活用が可能なシステムである。今後も顧客ニーズを反映した自社開発ソフトウェアの開発・拡販を強化する方針だ。 また2024年7月に先端AI開発スタートアップ企業であるコーピーと業務提携した。ミッションクリティカルな領域でAIが実用されることを目指すコーピーと協業し、既存サービスをAIで拡充する。2025年3月期末までに既存顧客へのヒアリングを通してソリューション案を策定し、2025年4月よりサービスの本格稼働を目指す。 なお資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、収益性の向上(KPIを売上高から営業利益へ変更し、収益性を重視した経営へ)、株主還元の強化(安定した株主還元の継続に加え、配当方針をDOE6%目安に変更)、サステナビリティ経営の推進(ガバナンス強化、働き方改革、人材育成に注力)、成長投資(M&Aによる人材確保、資格手当や研修制度の拡充など人材育成のための投資に注力)に取り組む方針である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《HN》 記事一覧 |