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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/01/15 16:19, 提供元: フィスコ

品川リフラ Research Memo(9):第6次中期経営計画におけるセクター戦略の進化

*16:19JST 品川リフラ Research Memo(9):第6次中期経営計画におけるセクター戦略の進化
■品川リフラクトリーズ<5351>の今後の見通し、中長期の成長戦略

3. 第6次中期経営計画の重点方針と進捗
第6次中期経営計画においては、セクター戦略の深化、生産基盤の整備、グローバル展開の加速、サステナビリティ経営の推進の4項目を重点方針とする。

(1) セクター戦略の深化
各セクターは、「セクタービジョン」に基づき各セクター戦略を深化する計画である。なお、セクター別に設定している売上高・営業利益・EBITDA・ROIC目標値には、計画公表時点で検討中のM&A・JV未公表のM&A、JVは含んでいない。

a) 耐火物セクター
「サステナビリティ課題への技術対応力の強化(新製鉄法への対応ほか)」「非鉄鋼業界(非鉄・工業炉など)に向けた販売拡大による国内事業規模の維持」「海外向け拡販とM&Aの推進」をセクタービジョンとする。国内市場におけるセクター戦略は、国内粗鋼生産量が漸減の傾向にあるため、非鉄鋼業(非鉄・工業炉など)へ業容を拡大するとともに、サステナビリティへの対応を強化する。業界では耐火物と断熱材の両方の事業を行う事業者がほかになく、同社グループ独自の強みである。両製品の技術融合による省エネ性能を向上した製品の開発、使用後耐火物のリサイクル原料化により産業廃棄物と新規原料製造時に発生するCO2発生量の削減、熱ロス低減対策となる炉の設計と築炉技術の開発、交換頻度の少ない装置の提供などを、セクター間の協業により推進する。2023年4月には米国Allied Mineral Products社と国内のアルミニウム業界向け不定形耐火物の独占販売契約を結んだ。同社の競争力のある豊富な製品群を生かして拡販に取り組む。また、国内高炉メーカーも大型電炉、水素還元製鉄などCO2発生量を削減する新しい製鉄法を検討しており、こうした製法に対応した製品のラインナップ拡充、Green Refractoryの浸透を図る。

海外市場におけるセクター戦略は、技術力やグローバル拠点を持つ強みを最大限発揮し、機能性耐火物、モールドパウダーなどの拡販、M&Aによりグループ入りしたSRB社製品の北米への販売などを展開していく。また、M&A・JVによる現地製造、これによる事業ポートフォリオ拡大を目指す。2024年4月にはインドネシアに現地合弁会社SRPを設立し、同年7月より不定形耐火物の製造品目を増やして販売を開始している。中国では、高品質のモールドパウダー製品をアジア市場に提供してきた遼寧品川和豊において、付加価値の高い連続鋳造用機能性耐火物(ノズル)の事業化を決定し、2026年3月期末までに新工場稼働及び機能性耐火物(ノズル)の製造販売を開始する計画を進めている。2024年8月には、中国で製造した耐火物製品の海外市場への拡販を図るため、遼寧品川和豊のほかに連続鋳造用モールドパウダーの製造・販売を行っている瀋陽品川冶金、製鉄設備用マグネシアカーボンれんがの製造・販売を行っている済南魯東耐火と有機的に連携し、新たな販売支援や事業戦略の立案・実行を担う現地法人「山東品川耐火材料有限公司」(100%子会社)を新設した。

同年10月には定形耐火物及び不定形耐火物の製造・販売・施工の事業拠点を欧州に持ち、中東・アフリカ・東南アジアにもネットワークを展開するオランダGoudaを買収した。Goudaの石油化学・エネルギー業界や非鉄金属業界向けの製品群及びマーケットは、同社グループの既存の製品群や顧客層を補完するものであり、技術共有や相互の製品群を活用した幅広い販売活動などにより多面的なシナジー効果の発現、新たな地域・顧客マーケットへの事業展開が可能となった。既に、イソライト工業が入り込めていない欧州・中東地域の非鉄、石油化学業界への断熱材販売、同社及びグループ会社が外部企業から仕入れている定形耐火物をGoudaからの内部仕入れに切り替えるなどの検討をしており、グループ全体でのシナジーは相当大きくなる見通しだ。また、Goudaの買収額は237億円と大きく、2023年12月期の純資産約32億円を前提としたのれんの償却費用は、確定前の現段階において同社では年間20億円程度と見積もっている。一方、EBITDAは25億円〜30億円は見込まれ、さらにシナジー効果でグループ全体の利益はさらに増加するであろうと同社では自信をのぞかせている。

リサイクル原料を活用したGreen Refractoryについては、まずセメント業界に提案・展開中である。従来、セメント製造の回転式窯であるセメントキルンに使用されるマグネシア・スピネル質れんがは、使用後に廃棄処分されてきた。同社はその使用後れんがをリサイクル原料とするための管理徹底と、リサイクル原料を含めた製品粒度構成の最適化による再活用技術(特許取得済)を確立した。同社の優位性は、自社製品だけでなく他社製品も含めた使用後のれんがをリサイクル原料化できることだ。新規に採掘・加工された原料の使用比率を減少させることで、原料製造時に発生するCO2排出量削減に寄与する。繰り返し再原料化を行うことで、原料のリソースとしての安定供給が可能となる。セメントメーカーの上流Scope3を含めたサプライチェーンにおけるGHG排出量削減に寄与する。今後はセメント業界のみならず、耐火物を使用するすべての業界に向け展開する考えだ。海外では、リサイクル原料化のビジネスを既に確立している企業もある。このリサイクル原料化したものを含むグリーン原料の使用比率(同社単体)は、2023年度には10%程度であったが、2030年度に20%まで引き上げる目標を設定している。

2027年3月期の売上高は1,034億円(2024年3月期比5.1%増)、営業利益は113億円(同41.3%増)、EBITDAは143億円(同34.9%増)、ROICは9.5%(同1.4ポイント上昇)を目標とする。

b) 断熱材セクター
「環境負荷を低減する断熱製品のグローバル供給」「成長市場(半導体製造装置業界など)向け拡販に対応する技術開発力の強化」「積極的なM&Aの推進」をセクタービジョンとする。セクター戦略は、脱炭素、省力化、合理化、IT化などへの投資を積極的に展開する。3ヶ年累計で54億円の設備投資を行い、生産基盤を強化する。次に、今後の成長が期待できる半導体製造装置業界や燃料電池(リチウム、NAS電池)用の部材、断熱性に加えて耐火性も兼ね備えた建築用不燃材などを拡販する。既にイソライト工業の耐熱性断熱ファイバーブランケットは、建築用エキスパンションジョイント(建物や構造物の間に設置される伸縮継手)耐火帯用製品として国内公共スタジアムなどに採用予定であり、鉄骨柱の表面仕上げ材である木材の裏の耐火材としても2025年1月には認定される予定である。そのほか、コア事業となる耐火断熱れんが及びセラミックファイバーの製造販売の持続的成長、成長分野での拡販、海外向けの拡販を強化し、年5%の持続的な成長を目指す。

2027年3月期の売上高は220億円(2024年3月期比18.9%増)、営業利益は42億円(同23.5%増)、EBITDAは51億円(同24.4%増)、ROICは11.0%(同0.1ポイント上昇)を目標とする。ROICは、持続的成長に向けた投資を拡大するため横ばいを見込む。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)


《HN》

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