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本書は為替ディーラーとして長く東京市場で活躍した著者が、その現役時代を振り 返って書いた回顧録である。とは言っても、ここに書かれている内容はまだつい最近 までのことで、それは我々の脳裏に生々しく残っており、当時なんらかの形で為替市 場に関わっていた人間ならいろいろな意味でうならされる事柄が満載されている (^^;)。
書かれている具体的な年代は著者が大学を出てしばらくしてからスイス銀 行にはいった1975年から1997年までの20年あまりの年月を各年毎に書き連ねてある。 為替ディーラーというと、ポジション・トレードだけではなく、ブローキング業務が 利益の源泉であったり、手数料がゼロで売買ができること、クレジット・ラインで相 場が張れることなど、我々一般投資家とはずいぶん立場が異なるわけだが、著者が長 年の間に培ったマーケットに対する見方、考え方や、メンタルマネージメントなど は、なんら他の投機行動の場合と変わることがない普遍的なものであると感じずには いられない。真理はひとつと言うことか。
また、本書は著者が遭遇した多くの為替 ディーラーという人種の生態をあますことなく描いており、それだけでも大変面白く 読むことができると思う。
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