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本書「最後の相場師」は株式投資で財を築いた相場師、是川銀蔵をモデルにした経済小説です。残念ながら、本書は小説としては合格点を上げることができませんでした。
というのも、それぞれの登場人物の印象が薄くて、上手に描写できていないからです。淡々と話が進んで淡々と終わってしまった感があります。
しかし「市場で生き残り財を成した、稀有な相場師の記録」との視点でみれば、この淡々とした描写が非常に良い方向に働いていると思います。主人公の心理描写以上に客観的な市場の状況に紙面が多く割かれているからです。
主人公の佐久間平蔵の置かれた状況と自分をあてはめながら読んでいくと、おそらくほとんどの人が胃に痛みを感じるでしょう。それほどギリギリの勝負をしていたタダモノでない老人の姿を見て、こんなジイさんがいたのか?!とビックリするかと。
本書の主人公のモデルとなった是川銀蔵の生き方を追うことで、相場で財産を築く難しさや生き残る方法が見えてくるのではないでしょうか?このふたつを成し遂げた最後の相場師といわれるスーパージイさんの生涯が集約された、最終章の勝利者インタビューがとてもかっこいいのです。
普通の人なら耐えられないような歓喜と絶望の渦の中(株価1円の変化で億単位で利益・損失が変動するほどの運用額なのです。)、淡々と冷静に相場に向かう姿、本書後半での自分の半生の経験を生かした「日経新聞の小さな記事」から大相場を張り生き残る姿、ちょっと「羨ましくて憧れてしまう」老いの姿がそこにありました。
老いてこそ、盛んでありたいものです。
(くらげ 20代 会社経営 「初心者投資」管理人)
本書は是川銀蔵氏をモデルにした経済小説である。他の相場師を描いた作品と異なる のは何と言っても主人公が79歳の老人であることであろうか。それまでの人生でも波 乱万丈の年月を生きてきた主人公が、満ち足りた穏やかな生活をあえて捨てて、相場 という難解な世界にあえて挑戦し、最後には成功を納める様子が生き生きと描かれて いる。もちろんその過程にはさまざまな困難が待ち受け、ギリギリまで追い詰められ る局面もあるのだが、そのたびに主人公は知恵と勇気を振り絞って困難に立ち向か い、これを克服していくのである。多少の脚色はあるにせよ、意思の強さ次第では、 人間は年齢に関係無く非常に大きなことがやれるのだと勇気付けられる一冊です。
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