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本書は米国の15名のトップトレーダー(直接に自分自身は売買を行わない心理学者も含む)に対してのインタビューをまとめた内容となっている。
単にインタビューをそのまま紹介するだけでなく、そこから導き出された株式投資 を行っていくための重要なポイントについて、インタビューアーである著者がまとめ を行っている。
また、1999−2000年にかけて行われた話の内容だけでなく、その後下げ相 場な転じた中での追加インタビュー(約2年後)を掲載している点も非常に興味深 い。
同じ著者の代表的な一冊に「マーケットの魔術師」がある。インタビューを中心と した本の構成は本書とよく似ており、私自身、株式投資を始めた頃に読んだ本の中で 非常に強く印象に残っている一冊である。
全編は670ページ以上と分厚く、かつ、図表などは少ないため、行間をとった編 集であっても、読み込む内容はかなり多い。しかしながら、特にストレスなくどんど ん読み進めることができた。それは、内容がインタビューを中心としたものとなって いて、会話調で読みやすいことに加えて、インタビューアーである著者自身が株式投 資やマーケットに対する理解が深いため、質問が的確であることによる。また一般の 読者を意識してか、難解な専門用語はほとんど用いられず、わかりやすい文章となっ ている(訳者の努力もあると思う)点も、読みやすい理由である。
魔術師たちのとる手法は、割安株投資、短期売買、投信の売買、独自の金融商品の 設定など、実に様々であり、そのすべてを具体的に理解することは難しい。しかしな がら、そこから導き出された「教訓」は株式投資を行うにあたって非常に有益なアド バイスになりえているように感じられる。また、インタビューの内容で必ずと言って いいほど「失敗談」について聞いている内容があり、逆にそれがあるからこそ、一人 一人の個性が生き生きと描写されているように感じられる。
言いっぱなしではなくて、2年後の再インタビューが掲載されている点も好感が持 てる。2年たち相場の状況が変化すると、これまでどおりにうまくはいっていない 「魔術師」もいる。それは当然のことであり、その中で彼らがなにをどう考えて行動 しているのか、行動しようとしているのかも面白い内容であった。
直接「魔術師」の手法をすぐに取り入れることはできない。そんなにたやすいこと ではないのが本書を通読するとよくわかる。しかしながら「最悪」な状態に陥らない ことは、初心者の投資家であっても、自分の意識のあり方なり具体的な投資方法の工 夫で可能だろう。そのためには「魔術師たちの金言」を自分自身の状況と対応させな がら何度か読み込んでみることをすすめる。
(ふしみん 公務員 40代)
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