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マーケットのテクニカル秘録

チャールズ・ルボー&デビッド・ルーカス/長尾慎太郎/杉本裕之/パンローリング

一読して感じたことは、”すばらしいテクニカル分析の本だ”ということだ。著者た ちの目的は、読者がパソコンと分析ソフトによって先物取引の売買意思決定を行う手 助けをすることである、と述べているが、自分でシステムを組む際には、テクニカル 分析に関して、相当な知識と見識が必要であることは論を待たない。今でこそいない と思うが、例えばRSIが70%以上なら売り、30%以下なら買いといった単純な方法 を疑わずに使っていた人が多くいたが、これはテクニカル分析を知っている人ではな く、知識を聞きかじりしただけである。 本書の第2章を読めば、聞きかじりの知識がいかに間違っていて危険なものであるか がわかる。

さて、本書第1章「システムの構築」では、トレーディングシステム構築のために必 要と思われる概念や知識を示してくれる。自分のトレーディングプランは各自で立て るべきで、自分がどんな性格で、どこまでリスクを取ることができるのかといったこ とを突き詰める必要があるからだ。自分自身が組み立てるシステムこそ、優れている のであって、自由に売買し、成果を上げるために何が必要かを知っているのも、自分 だけだからだ。

本書は様々なテクニカル分析ツ−ルの長所と短所が掲載されている。それは、とりも なおさず、どういった場面で、どのツ−ルをどのように使えばいいかという示唆にな っている。示唆と書いたが、使う人によって、適したツ−ルが違うのだから、何が自 分にとって一番最適なのかは自らが探さねば成らない。

本書の第2章「テクニカル研究」では、一般的なソフトを使って構築できる各種の指標 が紹介され、多くの指標やテクニカルツールを、トレーディングシステムで応用する 方法や場面について説明しているのはこうした背景からだ。この章だけでも熟読すれ ば、かなり実践で役立つだろう。

以上のような研究の後で、バックテストやシミュレ−ションを行うことを本書は勧め ている。その方法については第3章に述べられている。 テクニカル分析の主目的は、現在の市場を詳細に調べて将来の利益に結びつけられる ようにすることで、本書は、市場で過去に起きたことや、現在起きつつあることにつ いてベストの分析法を発見する方法を自分で見つけれることができるようにすること を目的にしている。本書は、基本的な知識を身に付けた人が、利益をだせるように、 次の段階へジャンプすることをきっと手助けしてくれるだろう。

(40代 会社員 男性 先物バカ一代)


ネットトレーディング全盛の中で、もうパソコンなしでは投資が成り立たないほどのパソコンの普及で、以前は縁のなかったテクニカル分析が身近になりました。ただ、聞いたことはあっても、内容は知らない手法が多かったため、この“マーケットのテクニカル秘録”は、その手法の考え方や使い方などが、詳細に解説してあり非常に役立ちました。

各々のテクニカル手法については、第2章にオーソドックスな移動平均をはじめ、ADX・DMI、RSI,P&Fなどトレードに必要なものが、取上げてあります。

ただこの本のテクニカル分析への考え方は、普通のテクニカル分析の解説本と違い、相場を予想する道具としてテクニカル分析を捉えていない所にあります。通常、テクニカル分析は相場を予想するものであるし、読者もそれを期待しているところが大きいものです。ところが、この本は、実際の相場を追いかけるためのものとしてテクニカル分析を捉えています。要するに、みんなの期待する“未来を予想してくれるもの”ではなく、“今現在、何が起きているか”を分析できるものとして、テクニカル分析を考えています。自分自身も、テクニカル分析というと、ついつい“未来を予想できるもの”として期待してしまうので、非常に反省させられました。テクニカル分析に対する考え方が変わっただけでも、この本を読んで価値があると思いました。

全部を読み終えれば、テクニカル分析の考え方から始まり、主なテクニカル分析の内容、システムテストやデイトレーディングまで、一通りのテクニカル分析に関する知識を得ることができます。内容的には、初心者には少々難しいかもしれませんが、ヘタなテクニカル分析解説本を読むより、この本で勉強したほうがテクニカル分析に関する知識がしっかりと身につくと思います。(ただ、この本は、デイトレーディングについては、批判的なので、デイトレーダーはがっかりするかもしれません。)

 これから、テクニカル分析を勉強したい人には、一読することを、薦めます。

ペンネーム ラッキー・キャット

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