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本書の書名の答えは、「利益を真に理解できていないから」ということになるのでしょう。
本書は一般的な会計原則から導き出される「利益」の数字を操作し、「防衛的損益」(主として企業破綻の危険性と関係)と「積極的損益」(主として企業の成長性と関係)を計算し、それを複合した「利益力チャート」からその企業への投資の適格性を判断しようとしています。
公表される「利益」の数字は、一般的な会計原則に則ったものであったとしても、企業側はその意図のもとに数字を都合のよいように操作できることは、他の書籍でも指摘されているところです。なので、EPSやPERといった一般的な指標も企業の現実の姿をそのまま反映したもにとはなっていない可能性があります。
本書で示された方法論に従えば、それをより正確に、というか、ある側面から切り取った別の視点から判断する材料となるでしょう。
本書は実際の企業決算の数字や図表、グラフなどから、「わかりやすく」このことを解説してくれています。「 」つきで「わかりやすく」としたのは、本書は翻訳本であり、示される具体事例もすべて米国の企業であるため、具体的ではあっても実際のイメージとしては私たちにとっては必ずしも理解しやすいものとはなっていないという意味を含んでいます。いわゆる翻訳物の「隔靴掻痒」感というのは本書にもあてはまります。
全体として本書で主張されている内容の意図は納得しやすいものでしょう。ただ、これを実際に日本株への自分自身の投資で活用しようと思えば、自分自身で本書の内容を再度、具体的に投資対象の企業にあてはめて判断する必要があります。その作業は決算書の読みこなしなどに慣れた人であればさほど難しくはないとは思います。
最終章では、投資についての具体的なアドバイスがまとめて示されており参考になります。
ただ、個別銘柄で運用するのは5%、せいぜい10%で、あとはインデックスファンドでいいという指摘については、この比率の低さということについていえば、私自身は納得はしがたいですし、述べられてきた内容と正反対とはいわないまでも、違和感がありました。
本書の内容と関連が高いと思われる内容の書籍として 「ファンダメンタル的空売り入門」 「投資家のための粉飾決算入門 イカサマ手口とその見破り方」 「投資家から「自立する」投資家へ」「アナリストデータの裏を読め!インターネットで有望株が見つかる」の4冊をあげておきます。
(ふしみん 公務員 40代)
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