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エリオット波動についての認識は、入門書の「5.3の波で出来ている」「三段上げのようなもの」くらいの知識しか持っていませんでした。 今回なぜこの本に興味を持ったのかというと、帯の「世界はフィボナッチで動く」という言葉でした。
エリオット波動って、フィボナッチと関係あったっけ?と、 先日同じ時期に購入した「先物市場のテクニカル分析」を見てみると、本当だ、関係あるんだ!と興味が湧いてきて、きちんとエリオット波動について学びたいと思いました。 テクニカルの入門書に簡略化されて書いてある、エリオット波動。 それだけの著書は驚くほど少ないです。 本書はその数少ない、エリオット波動専門書です。
まず概要から始まり、波動論の大まかなガイドライン、基礎を学んでから、波動のカウント方法、パターン分析、フィボナッチを合せた波動論と移っていきます。 豊富な図解と、丁寧な解説、翻訳も読みやすいです。
相場は人間の集合意識で、様々な感情が日々、チャートの裏側でせめぎ合っています。そんなマーケットの海中で波打つ、波動ごとの相場心理の解説は、とても興味深く読ませて頂きました。
私はよく三角収束を目安に相場を予測する事があるのですが、本書ではプライス収束の部分にもページを割いていて、参考になりました。 波動のカウントは、今ひとつ実際の相場で正しくできているかちょっと自信がないのですが、パターンと共に理解すれば十分、相場の転換点を測る武器になると思います。
フィボナッチに関しては、歴史と基礎的な解説にページを割いてくれています。 リトレイスメントとフィボナッチの関係の供述で、やっとこの二つの関係がわかりました。 普段、引いているフィボナッチライン。 少し角度を変えただけで、新しい発見があるものです。 後半はサイクル論も登場し、フィボナッチを使った時間の概念など、興味深く、楽しく 読ませて頂きました。
フィボナッチも、エリオット波動も、多くの人が意識するポイントの一つです。 トレードシナリオを建てる時、この二つの指標は明確な利益目標を示してくれるので、 一つの参考になると思います。 相場はもちろん、いつもその通りにいつも動きませんが、そのポイントである基礎をしっかり学び、自分なりのトレード手法を固める為に、私にとってこの本はとても有効でした。
ペンネーム 30代 falco
確信は得られず、疑問が深まる
株価は上昇5波、下落3波からなる波動的な動きを示すとするエリオット波動は、 非常に「有名」で繰り返し様々なところでとりあげられる。本書の書名は「入門書」 であるが、実際の内容は基本的な波動の形の解説にとどまらずに、歴史的数学的背景 やその応用までと幅広い内容になっている。
私自身は、実はテクニカル分析は嫌いである。本書の監修者の長尾氏は本書の冒頭 で「「テクニカル分析を標榜するほとんどの人が現実には言行の一貫性を著しく欠 く」と書いているが、同感である。
そもそも、過去の株価の動きから将来の株価の動きを予想しようというのがテクニ カル分析なのであるから、そこに示される事例は、その分析手法に合致したものが選 ばれるのは、当然のことである。そういう意味でテクニカル分析は本質的に後講釈と なるものであり、つまりのところ「過去こうだったので、今後、こうなる可能性が高 いのではないか」という指摘でしかありえない。株価の動きは人間の売買によって形 成されるものであるから、そこに「一般的」な人間の心理的傾向を指摘することはで きるかもしれない。じゃあ、「一般的」とはどういうことだろうか?
ところが、タレブの「ブラック・スワン」での指摘を待つまでもなく、実際の経済 においては、わけのわからない、予測のつかない事態がたびたび起こる。もちろん、 それは株価に影響する。こんなことも含めて、株価の動きを実際の売買に有用な程度 にまで予測することは極めて困難であろう。
本書では様々な株価の値動きのパターンが紹介され、解説がなされている。ところ が、本質的なところで、なぜそれがそうなるのかについての明確な論理的根拠が示さ れているとは言い難い。読み込みが浅く、当初からの偏見があるためかもしれない が、本書の中でも、エリオット自身はこの5波、3波の株価の動きの説明をしていな いとの記述がある。
つまり、彼は見つけたのだろう。そして、実際に、そのように株価が動くことが実 際にあったのだ。だからこそ、この「考え方」は相当の有用性を持っているように見 えるし、過去の相場の値動きにあてはまっていることが多いようにも見える。
ただ、「見える」ことと「そうである」こととは違う。タレブ的に言えば、いくら 白い白鳥を沢山連れてきたところで、黒い白鳥がいないことの証明にはならない。そ れどころか、黒い白鳥を連れてきて見せたとしても、「それは例外だ」とか言い出す 可能性も高い。
テクニカル分析については、私自身はマルキール先生の「穴のあいた靴下」の見解 を依然として支持する。
本書を読んでも、それに変化がなかったことはいささか残念ではあるが、当然のよ うにも感じる。大切なことはテクニカル分析の奥義を極めることではなく、自分のポ ジジョンを適正に管理する手法を身につけることだろう。
ふしみん 40代 公務員
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