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イェール大学流資産形成術 顧客本位の投資信託とは何か

この本は、これまでに発売された本を新たに翻訳し直したものであるが、非常に内容は濃く読み応えがある力作である。 本の構成は12章から成るが各章の最後に「本章のまとめ」があり要点を再確認できるようになっており非常に読みやすい。

さて、内容は投資信託にて巨額な運用を行っているイェール大学の最高投資責任者が個人投資家に向けて投資信託を利用する際の細かな留意点、特性などをまとめたものとなっているが、内容はプロの投資家にも大変参考になるものである。

「ファンドの中にはごく少数だが、他人の資産を運用するに値する本当に能力のある運用会社もある」と述べられている通り、この本を通じて「投資信託にて資産運用する場合は商品内容のみならず、顧客本位の会社が設定・運用しているのかを良く吟味することがパフォーマンスを向上させる秘訣」であると理解した。

本書は、投資信託で資産運用するものにとって非常に参考になる良書だと思う。

炎のディーラー
金融機関勤務、金融商品投資歴26年


本書の基本的な内容は現在においてはオーソドックスな手法となりつつある低コストで良質なインデックスファンドによる長期での資産形成をすすめるものとなっている。アセットアロケーションのあり方やリバランスなどにもふれられ、丁寧な解説がなされている。

と同時に、後半ではかなり厳しい論調で米国の投資信託業界の状況について批判をしている。

本書の原著が出版されたのは2005年であるが、その当時と比較して現在の状況は変化したのかしていないのか。

日本国内の状況を見ると、インデックスファンドの利用はかなり一般化しそのメリットも理解されつつあり、長期でのインデックスファンド積み立てによる資産運用も幅広く行われるようになってきていると感じられる。

同時に、旧態依然たる、やれAIだのDXだのと売るための衣装を身にまとった高コストの投資信託や、やらずぶったくり的な債券の名に値しないオプションを活用した仕組債のような商品も存在し続けている。

監修者の長岡氏はまえがきで日本の投信業界についての批判的見解も示されている。

ろくに投資家のためにならない「ずるい」商品は形を変えて出され続ける傾向があるように思える。本書を読むと、あらためて、低コストで良質な「まとも」な金融商品を選別し、それによる運用を資産運用全体のベースとすることの重要性というのを認識させられる。

こうした意味で本書は良書と言えよう。

ふしみん 50代 個人投資家
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