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誠実さと投資のバックボーンとしての発想
過去の膨大で多様なデータ等の分析を通して、株式投資は長期投資に適したものであることを論証した労作。非常に誠実な本であるという印象。読後感は、視点はやや異なるものの、「インデックスファンドの時代」J・C・ボーグル著や「敗者のゲーム」チャールズ・エリス著と似ている。
表現は平易である事を心がけていると思われるが、前半部分は歴史的な状況の解説なども多く楽しく読める内容とは言い難い部分もある。が、中盤以降、テクニカル分析や今日的な行動ファイナンスと関わっての内容なども含めて非常に多様な視点からの論考が示され、最終章では具体的な資産運用についてのアドバイスも示されている。結論のみを読みたければ終章を読めばよい。
結論そのものに全体としては意外感はなく、長期的には株式の比率を高く保ちつつ、インデックスファンド等を活用して運用をすすめている。それとともに、中小型株での運用をすすめている点は興味深かった。ただ、ここでという「長期」とは1年や2年ではない(これは短期)。10年、20年というスパンでの運用についてである。そうした意味で、日々の細々とした売買やそれに即した具体的なテクニック等については何もふれられていない。
そうした目先の小手先的な事でなく、長い期間の資産運用のバックボーンとなる考え方をきちんと示しているという点で、「まじめ」さが感じられるよい著作であったと思う。
私自身、まれにデイトレードも試みることがあるし、短期売買で細かく利益を得るような売買も多い。IPOへの投資も行っている。しかしながら、中長期的に相当程度のポジションをずっと維持するという意味では長期投資をしているつもりである。
将来の事などはっきりとわかるはずもないが、過去に学び、そこから具体的事実を抽出してくみ取り、骨太な投資哲学を持ちながら資産運用を続けて行うことは、大切なことだと思う。そうした事を再認識させてくれるという意味でもよい書籍である。
(ふしみん 40代 公務員)
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