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本書「ビジネスは人なり 投資は価値なり」は株式投資の世界のスーパースター「ウォーレン・バフェット」の半生をアメリカの証券史と絡めて綴っています。多くのバフェット関連書籍では取り上げられることが少なかったバフェットの影の部分や負の部分が多く紹介されており、バフェットの総体を理解する上で大変興味深い内容になっています。
「影」や「負」の部分といっても、バフェットの私生活のゴシップや性格、取るに足らない揚げ足取り等々のエピソードで構成されているわけではありません。1人の人間が「そのようにしてあるとき」に、必ず現れる反面性に焦点を当て、一層その人物を鮮やかに浮かび上がらせることを狙っているように思います。
人間・ウォーレン・バフェットなら「そうしてしまうだろうねぇ・・・」と、少しでも彼の人となりに触れたことのある人なら思ってしまうエピソードがたくさん紹介されています。
例えば、実姉のドリスがヘッジもかけずにオプションを売り建てる投機に参加し、お決まりの大失敗、そして破産するしかなくなったのに冷然と援助を断ったことや、バッファローニュース社が長い競争のくびきから解放され「社員にボーナスを!」という声が出たことに対し、「彼らは勝利に貢献していないから」といって皆に冷や水をぶっかけた話など、従来のバフェット関連書籍やマスコミ等から得るバフェットのイメージからは、ちょっと違う味付けをされたバフェットの姿を見ることができるでしょう。
ちなみに、上記のエピソードの当時では、バフェット自身は億万長者であったことを前提に置いていてくださいね。そうすれば、もっとくっきり見えるはずです、バフェットがどのような性質を持っている人なのかが。
さて、本書で注目したいのは、バフェットと関連の深い人から薄い人まで、たくさんの人名がでてくることです。バフェットの師であるベン・グレアムやその右腕チャーリー・マンガー、その本妻スージーなどなど、「どういう人と付き合ってきた」かが良くわかります。特に、ベンとチャーリーはよく出てきます。
本書の原書の書名は「THE MAKING OF AMERICAN CAPITALIST」で、邦題は「ビジネスは人なり 投資は価値なり」となっています。最初、この邦題に触れたときピンときませんでした。日本的経営の特色の雇用政策に被せるような題名にしたのでわん、と思ったりもしました。
ですが、この邦題をよくよく味わってみれば、この邦題はバフェットをうまく言い当てているのです。バフェットのビジネスは証券投資なのですが、その投資の源流といえば「グレアム」から、価値を買うバフェットの投資といわれる部分については、実はその友人の「マンガー」から大きな影響を受けているわけです。バフェットのビジネスの多くは「人」でできていることに気付きます。
企業の買収にしても、まずはCEOの人柄で多くを決めるバフェットのやり方からみても、バフェットのビジネスの多くは「人」でできているのだと考えます。邦題の後段部分については、「将来の価値」に対して投資を行い、稼ぎに稼いだバフェットの投資の真髄が色濃く出ていると思います。シーズキャンデーや、ワシントンポスト、コークへの投資をなぞってみれば、バフェットのいう「価値」がどういうものかわかるのではないでしょうか?
最近では、巨額の財産を株式市場から築き上げたバフェットの投資法に興味を持つ人が多くなってきています。ですが、わたしが思うに、バフェットの投資法はバフェットの半生を追ったほうがもっと「良く」知ることができるかと思います。
意外かと思われますが、バフェットの銘柄選択はちょっぴり主観的であり、算数的事実に重きを置いてあるくらいでそうそう理論的でもありません。株式投資とは理論で早々に割り切れるものではないのでしょう。ま、バフェットの投資の成績も理論でどうにかなる数字でないですしね。
ここでバフェットの先生、グレアムの言葉を借りてバフェットを表現してみましょう。
「道の中央を行きなさい」
ベンの優秀な弟子、バフェットはその師を乗り越えて自分の道のど真ん中を行きました。道がひとつでないように、オイラも自分の道を探さないといけないなと、気持ちを新たに引き締めたわたしでした。
(くらげ 20代 会社経営 「初心者投資」管理人)
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